コロナ感染症による海外から日本への渡航・入国制限により、約3万人の留学生(日本語学校のみ)が海外で待機を続けている実態を政府に届けるため、任意団体「コロナ禍の日本留学の扉を開く会」は2021年7月19日17時より(日本時間)Youtubeにて約800人の海外待機中の留学生と共にライブ配信を行った。
「コロナ禍の日本留学の扉を開く会」の代表を務めるGo! Go! NihonのDavide Rossi氏はオンラインライブの冒頭で、日本政府が2021年10月から留学生の受け入れを再開すべき5つの理由を述べた。
- 留学生はPCR検査をしっかりと受けている、かつ来日後も隔離を行っているため感染リスクは極めて低い。
- オリンピック・パラリンピックで選手・関係者計約10万5000人が来日している。またアスリートは隔離されておらず、日本政府にポリシーの矛盾が見られる。
- 日本からG7諸国への留学生の渡航は既に始まっているが、逆は認められていない。
- 多くの国は留学生の受け入れを再開している。一方で日本政府は受け入れ計画/受け入れ再開の基準すら発表しておらず、政治運営の透明性が欠けている。
- 大学や日本語学校では10月から新学期が始まるため、10月までに留学できなければ、多くの生徒は人生プラン・キャリアプランを変更する必要がある。既に日本の代わりに韓国や台湾に行く学生も出てきており、長期的な国力低下に繋がる。
次に、「コロナ禍の日本留学の扉を開く会」の副代表を務めるKAI日本語スクールの山本弘子氏とコアメンバーであるコミュニカ学院の奥田純子氏より、コロナ下における日本の留学生受け入れの概況、海外で待機中の留学生から取ったアンケート結果、「コロナ禍の日本留学の扉を開く会」の設立経緯の説明が行われた。
68カ国906名の海外で入国待機中の学生から取ったアンケートによると、待機中学生の約6割が6ヶ月以上待機、3割が1年以上待機をしているという結果になった。
現状、受け入れ再開の計画が示されず、いつ日本に入国できるか分からないため、待機中学生の多くはフルタイムの仕事を得る事が出来ず、アルバイトをしながら入国を待っていると言う。
アンケート回答者の約85%が10代・20代の若者である事を考えると、キャリアに大きな影響を与える時期の数年間を「時間を凌ぐためのアルバイト」で過ごすのは過酷である事は容易に想像がつく。
実際に待機中の学生代表として窮状を話したコロンビア在住のマリアさんは、日本の大学に留学するために学校も仕事も辞めたものの、約2年間入国できない状態が続いているという。
オリンピック・パラリンピックの後に、衆議院議員総選挙が控えている事を考えると、2021年中の受け入れ再開すらも危うい状況である。しかし、このYoutubeライブを通じて日本政府には2021年10月の留学生受け入れ再開を、少なくとも再開の判断をする基準を示して頂きたい。
日本語教師キャリア マガジン編集部
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