令和3年度「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」の結果確定

学校内の教室

文部科学省は、日本語指導が必要な児童生徒の教育の改善に向けた取り組みのため実施した「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」の確定結果を公表した。

この調査では、「都道府県教育委員会及び市町村教育委員会」を調査対象として日本語指導が必要な児童生徒の状況や、日本語指導の実施状況、進路状況などの聞き取りをおこなった。

調査結果について、以下に主な概要をまとめた。

  • 公立学校における日本語指導が必要な児童生徒数は、58,307人(平成30年の前回調査より7,181人増加)
  • 日本語指導が必要な外国籍の児童生徒のうち、学校において特別の配慮に基づく指導を受けている者の割合は91.0%(前回調査より11.5%増加、人数は43,332 人で10,914 人増加)
  • 日本語指導が必要な外国籍の児童生徒を言語別にみると、ポルトガル語を母語とする者の割合が全体の約4分の1を占め、最も多い
  • 日本語指導が必要な中学生の高等学校等への進学率は89.9%(全中学生等の進学率99.2%)
  • 日本語指導が必要な高校生等の中退率は5.5%(全高校生等1.0%)
  • 大学などに進学した生徒は、51.8%(全高校生等73.4%)
  • 就職者における非正規就職率は、39.0%(全高校生等3.3%)

今回の調査では、特別な配慮に基づく指導が受けられている生徒の割合や進学率、中退率など、多くの項目にて平成30年の前回調査より改善がみられた。

しかしながら、公立学校における全生徒の平均と比較すると、日本語指導が必要な生徒の進学率は低く、中退率や非正規就職率も高くなる傾向にあるのは依然として変わっていない。

今後外国人人材の受け入れが加速していく中で、家族で日本に滞在する外国人の割合も増えていくことが予想されており、外国籍の児童に対する日本語指導のサポート体制をより一層強化させるとともに、日本語指導にかかわる教員数も大幅に増やしていく必要があるだろう。

文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和3年度)」

The following two tabs change content below.

伊藤えり子

運営情報
関東在住の現役日本語教師。日本語教育能力検定試験、日本語教師養成講座を保持。実際の指導はもちろんのことオンライン事業立ち上げや教材の開発、また一般企業で経験を活かした独自の視点で情報を発信中。日本語教師キャリア マガジンのライター
学校内の教室