国家資格化「第5回有識者会議」教師不足を懸念する声も

会議室

文化庁では10月25日、日本語教師の国家資格化に関する「有識者会議(第5回)」が開かれ、今回の会議では主に以下の項目について議論された。

【日本語教師の資格に関すること】

  1. 筆記試験
  2. 教育実習の実施機関
  3. 指定日本語教師養成機関
  4. 日本語教員の登録に関する経過措置

すでにまとめられている「たたき台案」によると「筆記試験」については以下の通りとなっている。

  • 国による「指定試験実施機関」が全国各地で年に1回以上実施する。
  • 「筆記試験①」(日本語教育の基礎的な知識・技能に関する)と「筆記試験②」(日本語教育の基礎的な知識・技能を応用した現場対応能力・問題解決能力を測る)の2つの区分に分けられる。
  • 「筆記試験②」は音声による出題も想定。
  • 多肢選択式で、区分ごとに独立して合否を判定。

今回の議論では、筆記試験によって日本語教師の質を高めるとともに、日本語教師不足を補うために「量」の確保も重要だとする声が挙がった。これにより、すでに日本語教師として指導している教師が新制度へ移行できるよう、経過措置として「筆記試験①」や「教育実習」を免除する等の案が出された。経過措置の詳細については、今後も議論が続けられる。

現在の日本語教育業界では40代、50代といった比較的高い年代の日本語教師が多く、雇用形態も非常勤勤務が多い状況にある。以前より日本語教師の労働環境の改善が必要だという声が多く挙がっているが、人材の量を確保するためには資格制度の整備だけではなく「日本語教師の社会的地位の向上」や「労働環境・賃金の改善」も必要不可欠となるだろう。

※参照:教育新聞

※文化庁「日本語教育の質の維持向上の仕組みに関する有識者会議(第5回)

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伊藤えり子

運営情報
関東在住の現役日本語教師。日本語教育能力検定試験、日本語教師養成講座を保持。実際の指導はもちろんのことオンライン事業立ち上げや教材の開発、また一般企業で経験を活かした独自の視点で情報を発信中。日本語教師キャリア マガジンのライター
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