「雇用の調整弁」として不安定な立場に置かれることが多い外国人労働者。その子どもたちも正規雇用の機会が限られ、非正規雇用の「再生産」が起きているとの指摘もある。外国人生徒が多い岐阜県立加茂高校定時制(同県美濃加茂市)はそんな連鎖を断ち切ろうと、将来を見すえた「キャリア教育」に取り組んでいる。
同校では生徒の社会的・職業的な自立に向け、日本語の能力向上や幅広い職業観の育成、将来設計のためのライフプラン講座、卒業生の講話などを組み合わせて、キャリア教育を進めている。さらに、日本語の能力・発信力の向上を目指す日本語プレゼンテーション大会のほか、3年前からはライフプラン講座も始めた。
これらの教育の狙いは、将来を見据えた長期的な生活設計を考えることや、正社員と派遣社員の違い、日本の社会保障制度などを学ぶこととしている。同校の進路指導主事、尾関清光教諭(39)は「生徒たちが正社員を目指す取り組みを進めている」。非正規で働く親の姿を見て、子どもも「それでいい」と思いがちであるが、「最近は正社員を目指す生徒が多くなってきた」と話す。
昨年10月にあったキャリア教育の一つ、進路ガイダンスに参加した1年生のルカス・ケンジ・タナカ・オリベイラさん(16)は日本生まれの日系ブラジル人。大型運転免許を取得し、非正規の仕事から運送会社の正社員になった父親を念頭に「正社員になり休日を取れるようになった」と話す。ガイダンスで奨学金のことも知ったが、「資格を取れば早く働ける。興味がある自動車整備士へのイメージがはっきりした。中学の時より勉強し、自分でお金をためて進学したい気持ちになった」と将来設計を描いている。
参照:朝日新聞

伊藤えり子



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