- 日本語教師の需要や将来性ってどれくらいあるの?
- コロナ後の日本語教育業界、一体どうなるの?!
- 国内や海外で就職するときにはどうすればいい?
これから日本語教師を目指す方、日本語教師への転職を考えている方、そして現役日本語教師の方にとっても、非常に気になるトピックなのではないでしょうか?
ぜひこちらの記事を読んで、日本語教育業界の現状と未来、アフターコロナに向けて準備すべきこと、国内外での就職事情について、理解を深めていただければと思います!
目次
【日本語教師の需要について①】日本語学習者はどれくらい?
現在、日本語を学習している人は世界にどれくらいいるのでしょうか?
2018年度国際交流基金により実施された「日本語教育機関調査」によると、142の国・地域で日本語教育が行われており、学習者数は世界に約385万人います。(この人数には、日本語を独学している学習者は含まれていません。)
世界の国数は196か国と考えると、実に多くの国で日本語教育が実施されていることが分かります。
学習者数についてはどうでしょうか?
結論からいうと、学習者数は毎年増加しています。
国際交流基金の1979年度第1回調査では、日本語教育を実施している国は70カ国・地域でしたが、2018年度調査では約2倍にまで増加しています。
第1回調査時に約12万人だった学習者数も約30倍になっています。
この40年間で日本語教育は世界に大きく広がっていることが分かります。
3年ごとに実施されているこの調査では、学習者が減少したのは前回調査2015年度のみで、学習者数は年々増加し続けています。
それに伴い、世界では日本語教育機関も増加、教師数も増えています。
【日本語教師の需要について②】国内編
ここからは、国内と海外に分けてお話していきたいと思います!
まずは【国内編】です。
国内での日本語教師は、近年ますます需要が高まっています。
理由は、第一に日本人の人口減少による「外国人材受け入れ」加速、そして次に留学生数の増加があります。
日本国内で日本語教師を必要としている学習者とそこでの日本語教師の需要については、主に以下の通りです!
① 留学生
毎年、多くの留学生が海外から来日し、日本語学校や大学で日本語を学んでいます。
その中でも、現在、国内の日本語教師求人で最も多いのが「日本語学校の講師」の仕事です。
日本語教師は、主に日本の大学へ進学を希望する学習者への「日本語教授」や「進路指導」などを行います。
一方で、「大学で留学生に日本語を教える」日本語教師の求人はとても少ないです。
また、大学で働く場合は、最低でも「修士」の取得をしていることが求められます。
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が実施した、令和元年度の「外国人留学生在籍状況調査結果」によると、令和元年5月1日現在の留学生数は312,214人(前年比4.4%増)に上るとのことです。
どこの国からきているのかという指標でもっとも最も多いのは、中国からの留学生、次いでベトナム、ネパール、韓国、台湾となっています。
過去の調査結果から見ると、年々留学生の数は増加しています。
参照:外国人留学生在籍状況調査
② 技能実習生
続いて、技能実習制度を利用して日本で働く技能実習生への日本語教育についてです。
技能実習制度とは、「国際貢献のため,開発途上国等の外国人を日本で一定期間(最長5年間)に限り受け入れ,OJTを通じて技能を移転する制度」です。
つまり、「日本の人手不足問題を解消すべく、外国人に日本へ来て働いてもらう代わりに、外国人は日本での仕事を通じてさまざまな技能を習得し、母国で活かすことができる」というものです。
平成30年6月末時点で、技能実習生は約28万人在留しているとのことです。
それに伴い、「日本で働く技能実習生へ指導をする」日本語教師も、需要が高まっています。
全体としては日本政府は、深刻な人手不足の中で、積極的に外国人人材の受入れを進めていく姿勢であるため、今後はさらに日本語教師の需要は伸びていくと考えられます。
参照:技能実習制度の現状
③ ビジネスパーソン
日本で企業に勤め仕事をしているビジネスパーソンに日本語を教える仕事もあります。
企業が研修の一貫として、外国人社員へのマンツーマン個別レッスンを要望している場合が多いです。
求人の中には、「英語が話せる人」「特定の業界について知識がある人」と記載があるなど、個人の強みや個性を活かして働くことができるものも見られます!
④ 外国人児童
今後、留学生や仕事のために日本へ来る外国人がさらに増えて来ることが予想されていますが、それに伴い、外国人児童への日本語学習サポートの必要性もさらに高まっていきます。
現在は、地域の日本語ボランティア教室で学習の場を提供したり、小中学校などで授業についていけない外国人児童に対して、日本語教師が個別にサポートを行うなどの取り組みが行われています。
しかし、現状で日本語教育体制はまだまだ不十分であり、政府は国全体をあげて、外国人児童に対する日本語学習サポートをさらに強化していきたい考えを示しています。
【日本語教師の需要について③】海外編
続いて、海外にいる日本語学習者についてお話しします!
海外では、国や地域ごとに日本語教師の需要が異なるため、国・地域ごとに解説をしていきます。
海外の学習者数No.1は「中国」
海外の学習者数が最も多いのは中国で、「2018年度日本語教育機関調査」によると学習者数が初めて100万人を突破しました。
大学などの学校機関で日本語が教えられている、また「将来は日本の大学・大学院へ留学したい、技能実習生として来日したい」という目的で日本語を学んでいる人が多く、日本語教師の需要は非常に高いです。
海外の求人を見ていても、やはり中国の求人数は非常に多いです。
働く場は、大学や高校の常勤講師で募集があることが多く、「海外の大学で日本語を教えたい」という方は、中国での求人を中心に見てみると良いでしょう!
また、学歴に関して、日本で大学の日本語講師となる場合は「修士」が求められますが、中国の大学講師は、「学士」を持っていれば応募可能がケースが多数あります。
中国以外でも、アジアでの需要は高い!
中国に続いて、需要が高いのはやはりアジア圏の国々となります。
学習者数で見ると、韓国・インドネシア・タイ・ベトナム・台湾が上位におり、日本語教師の需要(求人数)で見ると、タイ・ベトナム・台湾での募集が多くみられます!
またアジア圏内ではありませんが、オーストラリアでも日本語学習者が非常に多く、学習者数でいうと中国・インドネシア・韓国に続いて4番目に多い地域となっています!
学習者は多い一方で、日本語教師は現地に在住する人へ対象として募集していることが多く、海外へ求人を出しているのは、日本語教師のインターンシッププログラム募集などに限定されている場合がほとんどです。
アジアに次いで、アメリカの学習者が多い!
アジア・オーストラリアに次いで、学習者数が多いのはアメリカです。
アメリカでは、日本のアニメなどの文化が好きで学習している人が多くいる印象です。
大学でも、第二外国語として「日本語のコース」が設置されている場所もあります。
また、日本人学校で、「アメリカに駐在している日本人家族の子ども」に対する日本語教育の需要もあります。
求人は、海外へ募集をかけられている場合はほとんどなく、現地に住む日本人が日本語教師として働いているケースが多くみられます。
【日本語教師の需要について④】日本語教師の課題
現在、日本語教師の関わる課題はどのようなものがあるのでしょうか?
深刻な問題となっていることとして、大きく以下の2つがあります!
教師不足・教師の質
現在、特に国内の教師不足が問題となっています。
国内での日本語学習者数が急増したにも関わらず、教師の確保が十分にできない状況です。
そしてもう一つ、「教師の質がばらばらである」という問題です。
現在、日本語教師になるために必ず必要となる”国家資格”のようなものはなく、教師一人ひとりの経験やスキルなどがばらばらで、教師の質が均一ではないことが挙げられています。
そのため、2019年より政府が「日本語教師」になるための明確な基準を設け、「国家資格化」をしようと動き出しています。
労働環境・条件
これは、教師不足の原因にも繋がっていますが、労働環境についての問題です。
具体的にいうと、日本語教師の仕事は授業準備に時間がかかるため「時間外労働」が多いという声が挙げられているほか、「賃金が低い」という問題もあります。
日本語教師は、正社員として働く専任講師よりもパートタイムで働く非常勤講師の方が多くいます。
そのため、なかなかフルタイムの仕事として働く教師数も少ないのが現状ですが、政府は今後、日本語学校での「専任講師」の割合を上げていくよう要請しています。
【日本語教師の需要について⑤】コロナショック|厳しい現状
コロナ感染拡大に伴い、2020年〜2022年現在まで日本語教育業界は非常に厳しい状況下にあります。
「外国人の受け入れができない」という中で、日本語教育業界は大きなダメージを受けました。
留学生数も激減し、とくに日本語学校では経営難・経営破綻に陥る学校も出ました。
【コロナによる日本語教育業界の現状】
現在、技能実習生や留学生の入国は少しずつ再開しているものの、受け入れ制限による厳しい状況は続いています。
一方で、国内外でワクチンの接種が急ピッチで進められており、徐々に国同士の往来がしやすくなる方向に向かっています◎
【日本語教師の需要について⑥】今後の需要|アフターコロナはこうなる!
今後の需要
コロナの影響はありつつも、世界全体として日本語教師の需要は上がっていくとみられています!
理由は、世界で日本語学習者が増え続けていること、国内では人手不足の状況がつづいていくことから、外国人の受け入れは加速していくことでしょう。
さらに日本語教師の「国家資格化」の動きもあり、日本語教師としての社会的地位も、今後上がっていくことが予想されます。
現在は日本語教師の求人数も少なく、日本語教育業界は厳しい状況にあります。
ですが、ワクチン接種が進みアフターコロナの世界では、かならず日本語教師の需要は上がっていくことが予想されます◎
これから日本語教師を目指す方は、今のうちに日本語教師の資格を取得しておくことをオススメします。
そしてここからは、”アフターコロナに求められるスキル”についてもお話ししたいと思います◎
アフターコロナに求められるスキル
コロナにより日本語教育業界がもっとも大きく変わったのは、授業のオンライン化です。
授業のオンライン化はアフターコロナでも一般的になる、あるいは需要が伸びると予想されます。
理由は、感染予防ができるほかにも、世界中どこからでも・いつでも受講ができるなどメリットが大きいからです。
このような動きの中で、オンライン授業に対応できる教師の需要も高まっていくでしょう◎
これから日本語教師を目指す方も、現役日本語教師の方も、今後はオンライン授業のスキルを磨くことがとても大切になります!
さらに、コロナ禍になる前からも言われていたことでもありますが、今後は日本語教師の働き方の多様化が進んでいきます。
SNSの台頭やオンライン化が進むことにより、SNSを通して日本語を教えたり、フリーランスのオンライン教師が増えることも予想されています◎
【国内外の就職事情|日本語教師になるには?】
国内で就職する場合
現在、日本語教師になるために必須となる資格はありませんが、日本語教師として就職する場合は、以下の条件が求められる場合がほとんどです。
そのため、日本語教師になりたい場合は、まずは以下の条件を満たすことを目指しましょう!
中には、フリーランスやオンライン講師など、資格が求められない場合もありますが、将来の選択肢を増やすためにも、資格取得をしておくほうが安心です。
以下の3つの条件のうち、いずれか1つを満たしていること
日本語教師養成講座は、民間のスクールで日本語を教える際に必要な知識と実践スキルを学びます。
修了までにかかる費用は約50万円、期間は半年〜1年です。
日本語教育能力検定試験は、年1回10月に実施される筆記のみの試験です。
民間のスクールで試験対策講座を受講するか、独学で目指すことも可能です。
すでに社会人になっていて、大学や大学院で学ぶ選択肢以外で養成講座か検定試験かを迷っている場合は、養成講座の受講をおすすめします◎
理由は、養成講座は経済的にも時間的にも負担が大きいのは事実ですが、教案作成や教育実習など実践的なことを学ぶことができるからです。
「日本語教師養成講座についてもっと知りたいな」という方は、無料で資料を取り寄せることができるサービスもありますので、活用してみてください。
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海外で就職する場合
海外の場合は、海外にある現地の日本語学校や、高校・大学などの教育機関などが代表的な就職先となります。
国内の求人ほどではありませんが、海外でも多くの求人において、以下の条件が求められます。
そのため、海外での就職を目指したい方も、まずは資格取得をしておくようにしましょう!
以下の3つの条件のうち、いずれか1つを満たしていること
【日本語教師の需要について】まとめ
- 世界全体で日本語教育の需要は高まっている
- 国内では「留学生」へ教える求人が多い
- 海外ではアジアでの求人が多い
- 教師の課題「人手不足」「教師の質がバラバラ」「労働環境」
- コロナにより、日本語教育業界は厳しい現状にある
- コロナ後は、日本語教師の需要は伸びる!オンライン授業へ対応できる教師になろう◎
- 日本語教師になるためには「大学・大学院にて日本語教育専攻」「日本語教師養成講座(420時間以上)修了」「日本語教育能力検定試験合格」のうち一つを満たす
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