「日本=着物」とイメージする外国人も多く、「和服」は日本文化を代表するものの一つとなっています。
- 日本の伝統衣装である和服について、基礎知識を学んでおきたい!
- 外国人に日本の着物についてよく聞かれるので、きちんと答えられるようにしておきたい!
今回は、上記のような方に向けて「和服とは?」「着物の種類にはどんなものがある?」「柄による違いは?」といった日本の伝統衣装に関するさまざまな疑問についてくわしく解説します。
この記事を通して、日本の伝統衣装についての基礎知識を学んでみましょう◎
目次
日本の伝統衣装【和服とは?】
「和服」とは「和の服」=「日本の服」のことで日本の民族衣装の総称を指しています。
また、和服の同義語として「着物」も用いられていますが、着物は「日本の伝統的な民族衣装」をあらわすほかに、単に「体に着るものの総称」を指す言葉にもなっています。
「和服」は、明治時代に政府による西洋化がおこなわれる以前に着られていた物を指し、明治時代以降〜現代まで日本人が身につけている衣服を「洋服」としています。
日本の伝統衣装【和服の歴史】
こちらでは、和服がどのように生まれ、どういった形で発展していったのかを時代の流れとともに見てみましょう。
- 縄文時代
男性は1枚の布を体に巻き付ける「巻布衣(かんぷい)」、女性は頭を通してかぶる袖のない形の「貫頭衣(かんとうい)」を身につけていた。これらが着物の起源といわれている。
- 古墳時代
「男性はズボンに上着」「女性はロングスカートに上着」といったように、上下分かれた形の衣服を身につけていた。
- 飛鳥・奈良時代
中国大陸からの影響をうけて、襟や袖のついた衣服を身につけるようになった。
- 平安時代
着物を重ねて着る文化が浸透したのがこの頃で、袖や衣服の幅がゆったりとしたスタイルが好まれていた。貴族の女性は「十二単(じゅうにひとえ)」と呼ばれる華やかな着物を着ていた。
- 鎌倉時代
武士の存在があらわれて動きやすい衣装が好まれるようになり、男性だけでなく女性も「重ね着」から「小袖(袖口の小さい着物)」が用いられるようになった。
- 江戸時代
一般庶民の間で「小袖」を用いることが広まり、生地の素材や模様を楽しむファッションとしての意識がもたれるようになったのがこの時代。
- 明治時代
時代の変化により衣服も西洋化し、特に男性は着物から洋服が公的なものとして早く導入され、女性の場合は1980年ごろまでは着物を着用していたそう。
日本の伝統衣装【着物の分類分け】
日本の伝統衣装である「着物」は格式によって「礼装」「準礼装」「盛装」「普段着」といったように、大きく4つの分類に分けることができます。
こちらでは、それぞれどのような違いがあるのかを順番に解説していきます。
礼装(第一礼装)
「礼装」は4つの分類の中でもっとも格式の高い着物で、おもに冠婚葬祭の儀式へ参加する際に着ます。
慶事の礼装としては黒留袖・色留袖・本振袖などがあり、結婚式で花嫁が着る白無垢や打掛、弔事の礼装として喪服などがあります。
準礼装
「準礼装」はセミフォーマルとも言われ、礼装のつぎに格式の高い着物をさします。
格式張らない結婚式などフォーマルな場面で広く着用され、訪問着や紋付の色無地、付け下げなどが「準礼装」の着物とされています。
盛装
「盛装(せいそう)」は、パーティーなど華やかに着飾る場所で着用される着物の種類です。
紋を付けない訪問着などが「盛装」とされています。
普段着
「普段着」は文字通り、日常のなかで気軽に出かける際に着用しフォーマルな場面には向きません。
小紋、紬(つむぎ)、絣(かすり)、浴衣などが普段着に分類されます。
日本の伝統衣装【着物の種類】
つづいては、代表的な着物の種類について詳しく解説していきます。
白無垢
「白無垢(しろむく)」は結婚式で花嫁が着用する礼装スタイルで、掛下から小物、打掛まで全身が白で統一されているのが特徴。
白で統一する理由としては、「純潔」「清楚」「嫁いだ家に染まる」といった意味が込められています。
素材や織り方にもいくつか種類があり、鶴・鳳凰・松竹梅などの縁起の良い柄が描かれています。
黒留袖
既婚女性の礼装で、結婚式の際に新郎新婦の母親や祖母などが着用します。
黒地の留袖で着物の上半身に柄はなく、「染め直すことができない=色を変えない」という誓いをあらわしているとされています。
色留袖
「色留袖」は既婚女性が礼装として着用するという点では「黒留袖」と同じですが、地色が黒以外の色で染められているのが特徴。
結婚式や祝賀会など、黒留袖より幅広いシーンで着用することができます。
振袖
「振袖」は未婚女性の第一礼装とされていて、成人式や未婚女性が結婚式に参加する際などに着用します。
袖の長さによって大振袖、中振袖、小振袖の3種類があり、大振袖がもっとも格式が高いとされています。
浴衣
「浴衣」は主に夏に着用する普段着であり、木綿でつくられているのが特徴です。
現代では夏祭りや花火大会、盆踊り、夕涼みの際に浴衣を着ます。
訪問着
全体に豪華な柄が染められた着物で、準礼装・盛装としてさまざまなシーンで着ることができます。
柄や模様の量によって格式の高さが異なるため、結婚式やパーティー、茶道においてなど幅広い場面で活用できる着物です。
喪服
弔事の礼装として、通夜や告別式、法事などで着用するのが「喪服」です。
黒無地染めで五つ紋がついているのが特徴で、喪服は親族や喪主、家族だけが着用するのがきまりです。
日本の伝統衣装【柄が表す意味】
日本の着物にはさまざまな柄が描かれていますが「意味について深く考えたことはない」という人も多くいるのではないでしょうか。
最後に、着物の柄によく用いられている「松竹梅」「鞠」「桜」「鶴」の4つの柄の意味について解説します。
松竹梅
室町時代から伝わる柄で、着物以外にも結婚式の披露宴や正月の松飾などのおめでたい行事に使われます。
冬でも枯れず緑を保ちつづける「松」には「長寿」の意味があり、折れにくくまっすぐと早く成長していくことから「竹」は「生命力」のシンボルとされ、早春にほかの花よりも一早く美しい花を咲かせる「梅」は「気高さ・長寿」の意味をもつとされています。
この3つを組み合わせて、生命の輝きや力強さ、長寿をあらわしています。
鞠
鞠は長い糸を使って作られることから「縁を結ぶ」という意味があり「幸せな女の子の象徴」とされています。
「良いご縁がありますように」「円満が家庭が築けるように」といった願いが込められており、昔は女の子が生まれると魔除けとしたり、家へ嫁ぐ場合はお守りとして鞠を持たせる習慣がありました。
桜
寒い冬を超えてうつくしく咲き誇る「桜」は、「縁起のよいことの始まり」をあらわします。
また、昔は桜の咲き方でその年の穀物の収穫を占っていたことから、桜柄は五穀豊穣を願うといった意味も込められています。
鶴
生命力と長寿を象徴する縁起の良い鳥とされているのが「鶴」です。
鶴は一度つがいになると一生添い遂げる鳥であることから、結婚式などの婚礼の場に合う柄であるとされています。
【日本の伝統衣装】まとめ
いかがでしたか?
こちらの記事では、日本の伝統衣装である和服・着物の歴史や種類について解説しました。
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