日本語の方言16種類を解説!各方言の特徴や「訛り」との違いは?

「日本語の方言には、どれくらいの種類があるんだろう?」

「”訛り”や”〇〇弁”との違いは?」

日本人でも「方言」について意外と知らないという人も多いのではないでしょうか。

今回は、方言と訛り・〜弁の違い方言の種類各方言の特徴をまとめて紹介します!

日本人として知っておきたい方言の基本知識について、この記事を通して学んでみてくださいね◎

方言とは?

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方言とは、そもそもどんなものなの?「訛り」や「〜弁」といった表現もあるけど、どう違うの?といった「方言の基本」について、まずは解説します。

方言とは、言語が地域で音韻・文法・語彙などの点において別々な発達をし、各言語圏に分かれた言語体系のことを言います。

方言は、共通語・標準語とは異なる、ある特定の地方のみで使用される語です。

文法や語彙に違いがあるため、異なる方言をもつ場合はお互いに理解することが難しい場面もあるでしょう。

「訛り」との違い

「方言=訛り」と考えてしまう人もいるかもしれませんが、方言と訛りの指す内容はことなります。

特定の地域で使用される言語体系が「方言」なのに対して、「訛り」は「特定の地域におけるイントネーション・発音・アクセントの違い」を指しています。

文法や語彙の違いではなく、発音やイントネーションの違いを指すため、訛りがあったとしても意思疎通が難しくなるということはあまりありません。

「〇〇弁」との違い

「大阪弁」「博多弁」といったように「〇〇弁」という言い方もありますが、「方言」とはどう異なるのでしょうか。

「〇〇弁」というのは、方言よりもさらに細かなエリアまで絞りこんでいった場合に「特定の地域や街単位で使用される言語体系」のことをいいます。

「方言>〇〇弁」といったイメージで、たとえば「近畿方言の大阪弁」という言い方などができます。

方言の分類

日本語の方言は、まず大きくわけて「本土方言」と「琉球方言」の2タイプにわかれます。

「本土方言」はさらに細かく分類されていくのですが、「本土方言」の分類の仕方は学者によって見解がわかれているようです。

方言の地域区分である「方言区画」については、東条操(とうじょう みさお)という国語学者が、1953年に方言を16種類に分けたのが、現在のスタンダードな分類方法となっています。

16種類の方言分布図

出典:Wikipedia『日本語の方言』より

東条操氏の方言区分方法は、まずは「本土方言」と「琉球方言」に分け、「本土方言」はさらに「東日本・西日本・九州」の3つに分類、そこからさらに細かく分けていきます

それが最終的に16種類の方言に分かれます

【16種類の方言一覧】

  1. 北海道方言
  2. 東北方言
  3. 関東方言
  4. 東海東山方言
  5. 八丈島方言
  6. 北陸方言
  7. 近畿方言
  8. 中国方言
  9. 雲伯方言
  10. 四国方言
  11. 肥筑方言
  12. 豊日方言
  13. 薩隅方言
  14. 奄美方言
  15. 沖縄方言
  16. 先島方言

方言16種類の特徴を解説

さてここからは、16種類の方言すべての特徴をまとめて解説していきます!

北海道方言

北海道方言は、北海道で使われている方言のことで「北海道弁」ともいわれます。

内陸の都市部では共通語に近い方言ですが、南部では東北で使われる方言が強く出ています。

北海道方言では、「そだね〜(そうだね)」「しゃっこい(冷たい)」「〜だべさ(文末につける)」などが有名な表現です。

東北方言

主に東北地方ではなされる方言を「東北方言」と言います。

「奥羽方言(おううほうげん)」や「東北弁」などとも呼ばれます。

特徴としては、シとス、チとツ、ジとズの区別がなく、たとえば「寿司(すし)」を「しし」と発音したりします。

この発音方式を「ズーズー弁」と呼んでいます。

東北方言の例としては語尾に「べ」をつけて「〜しよう、〜だろう」という意味を表したり、「起きろ」「開けろ」などの命令形を「起きれ」「開けれ」などと言ったりします。

関東方言

関東地方で使われるのが「関東方言」で、「関東弁」とも呼ばれます。

若者がよく使う「〜じゃん」という表現はもともと神奈川県の方言でしたが、現在は標準語として広く使われるようになりました。

ほかにも「なにげに」「かたす(片付ける)」「しょっぱな」などが関東方言にあたります。

東海東山方言

東海東山方言(とうかいとうさんほうげん)は、岐阜県・愛知県・長野県・山梨県国中地方・静岡県・新潟県(佐渡地方・阿賀北地域・青海以外)で使用されている方言です。

「中部方言」とも呼ばれます。

静岡では語尾に「だら」「ら」をつけて「だよね」「だろう」という意味を表したり、愛知では「だめだよ〜」を「あかんて〜」などと言ったりします。

八丈島方言

八丈島や青ヶ島で使用されている方言。

本土の日本語との差があまりにも激しいことから、「八丈語」という独立した言語とすることも。

2009年にはユネスコによって消滅危機言語として「危険」という評価をされました。

「でえーじけ(美しい)」「しゃしゃい(熱い)」「みく(歩く・行く)」など、本土で話されている日本語とはかなり違います。

北陸方言

「北陸方言」は、新潟県の佐渡島・糸魚川市旧青海町、富山県、石川県、福井県嶺北地方で使われている方言。

北陸方言の特徴のひとつとして、文節末のイントネーションが揺れて伸びるといった点があります。

たとえば、「あのね」が「あのね〜〜〜〜」と伸ばすような言い方になります。

近畿方言

「近畿方言」は近畿地方(大阪府・京都府・兵庫県・和歌山県・奈良県・滋賀県・三重県)の大部分で使用されている方言。

関東地方における方言のつぎに認知度の高い方言となり、「関西弁」ともいわれます。

近畿方言は共通語にも大きな影響を及ぼしており、「一緒」「しんどい」「むかつく」などは近畿方言から広まった表現の一例です。

中国方言

「中国方言」は山口県・島根県西部・広島県・岡山県・鳥取県東中部(因幡・伯耆東部)・兵庫県北部(但馬)・京都府北部(丹後西部)で使われる方言をさします。

特徴のひとつとして、動詞の否定では「食べん」「行かん」のように「〜ん」という形がつかわれています。

また、現代では「言葉の乱れ」として認識されている「ら抜き言葉(見られる→見れる)」や「れ足す言葉(書ける→書けれる)」は、中国方言ではもともと常用されていました。

雲伯方言

島根県の東部から鳥取県の西部にかけて使われているのが「雲伯方言(うんぱくほうげん)」です。

雲伯方言に属す「出雲弁」は、西のズーズー弁とも言われています。

「だんだん(ありがとう)」「がっしょ(一生懸命)」「ひまぐらし(まぶしい)」などが雲伯方言の一例です。

四国方言

「四国方言」は四国(香川県・徳島県・愛媛県・高知県)で使われる方言です。

語尾には「~わい」「~んよ」と付けたり「見て→みとん」「帰った→もんた」などと言うなど、かわいらしい響きを感じる表現が多いのが特徴。

肥筑方言

九州中北部の福岡県西部・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県日田市近郊で使われているのが「肥筑(ひちく)方言」です。

特徴は形容詞の終止形が「よい→よか」「きれい→きれいか」となったり、逆接に「〜ばってん/ばって」を用いたりなどがあります。

博多弁は「〜と?」「〜やけん」などが使われ、そのかわいい響きが評判にもなっています。

豊日方言

九州地方の福岡県東部・大分県中南部・宮崎県の大部分で話されている方言が「豊日(ほうにち)方言」。

「起きる」を「起くる」、「開ける」を「開くる」と言ったり、2007年の流行語大賞にもなったのが宮崎弁の「どけんかせんといかん(どうにかしないといけない)」という言葉です。

薩隅方言

「薩隅方言(さつぐうほうげん)」は、鹿児島県(奄美群島以外)と宮崎県諸県地方(都城市や小林市など)で使われている方言です。

「ひどい」を「いみし」、「可愛らしい」を「むぞか」、「あっちこっち」を「いっぺこっぺ」などと言います。

奄美方言

鹿児島県の奄美群島で使われている「琉球方言」のひとつで「奄美語」ともいわれます。

2009年にユネスコにより消滅危機言語の危険度評価「危険」と分類され、現代では奄美方言の使用は減少しています。

例として「ありがとうございます」を「ありがっさまありょん」、「こんにちは」を「うがみんしょら」などと言います。

沖縄方言

「沖縄語(うちなーぐち)」ともいわれる沖縄諸島(沖縄本島とその周辺離島)で使われる方言です。

有名な沖縄方言として、「はいさーい(こんにちは)」「めんそーれ(ようこそ)」などがあります。

「なんくるないさ(なんとかなるさ)」には、「正しく生きていけば、自然と良い結果になる」という意味が込められています。

先島方言

先島方言(さきしまほうげん)は、沖縄の宮古島・石垣島・西表島などで使われている方言で、「南琉球方言」とも呼ばれます。

「宮古方言」「八重山方言」「与那国方言」の3つの方言から成っています。

方言の種類【まとめ】

いかがでしたか?

日本には、実にさまざまな方言が存在していることがわかりましたね。

なかには標準語とあまり違いがないものや、標準語からは想像もつかないような表現もありました!

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伊藤えり子

運営情報
関東在住の現役日本語教師。日本語教育能力検定試験、日本語教師養成講座を保持。実際の指導はもちろんのことオンライン事業立ち上げや教材の開発、また一般企業で経験を活かした独自の視点で情報を発信中。日本語教師キャリア マガジンのライター