ベトナム人留学生が急増している理由|卒業後の進路、経済的な悩みとは

ベトナム人留学生

近年、日本に来日するベトナム人留学生が急増しています。

日本語教育関係の仕事をしている方、日本語教師の方はこのような話を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

そこでこちらの記事では、以下のような疑問について解説しながら『ベトナム人留学生の特徴』についてお話していきたいと思います!

  • ベトナム人留学生はなぜ増えているのか?
  • ベトナム人留学生の進学先や卒業後の進路の傾向とは?
  • ベトナム人留学生ならではの苦悩とは?

 

この記事で分かること

  • ベトナム人留学生の数
  • ベトナム留学生が急増している理由
  • ベトナム人留学生の進学先
  • ベトナム人留学生の卒業後の進路
  • ベトナム人留学生が抱える悩み

 

ベトナム人留学生の数はどれくらい?

ベトナム

日本学生支援機構による『2020(令和2)年度外国人留学生在籍状況調査結果』によると令和2年5月1日現在、日本国内にいる留学生数は27万9,597人です。

国別の数を比較してみると、最も多いのは中国人留学生で12万1,845人、それに次いでベトナム人留学生が62,233人ネパール人が24,002人となっています。

ベトナム人留学生数は、国地域別で2番目に多い数となっており、全体のうち22.3%の割合を占めています。

国(地域)名 留学生数(人)
令和2年度 令和元年度
中国 121,845 124,436
ベトナム 62,233 73,389
ネパール 24,002 26,308
韓国 15,785 18,338
台湾 7,088 9,584

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)『2020(令和2)年度外国人留学生在籍状況調査結果』より参照

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ベトナム人留学生が急増しているワケとは

10年でベトナム人留学生数は15倍以上に

ベトナム人留学生数は、ここ10年でなんと15倍以上も増えています

以下に日本学生支援機構『外国人留学生在籍状況調査結果』の2020年と2010年のデータを記載しています。

2020年】日本学生支援機構『外国人留学生在籍状況調査結果』

国(地域)名 留学生数(人)
令和2年度 令和元年度
中国 121,845 124,436
ベトナム 62,233 73,389
ネパール 24,002 26,308
韓国 15,785 18,338
台湾 7,088 9,584

2010年】日本学生支援機構『外国人留学生在籍状況調査結果』

国(地域)名 留学生数(人)
平成22年度 前年比
中国 86,173 (7,091人(9.0%)増)
韓国 20,202 (597人(3.0%)増)
台湾 5,297 (▲35人(▲0.7%)減)
ベトナム 3,597 (398人(12.4%)増)
マレーシア 2,465 ( 70人(2.9%)増)

上記の表を比較してみると、2010年時点ではベトナムからの留学生数は中国、韓国、台湾に次いで4番目でしたが、2020年には2番目に多い数となりました。

さらに、ベトナム人留学生の数は2010年に3,597人であったのが、2020年には6万2,233人と17倍にも増えていることがわかります。

なぜこんなにもベトナム人留学生が増えてきたのでしょうか?

 

『留学生30万人計画』が背景に

ベトナム人留学生急増の理由の一つとして、政府が2008年に公表した『留学生30万人計画』が背景にあります。

当時、日本政府は留学生数を増やそうと留学ビザの緩和を行ったことにより、外国人が日本へ留学に行きやすくなったことから、ベトナム人留学生数も増加したと考えられます。

 

留学生のアルバイトが許可されている

先進国と比較すると物価の低い国に暮らすベトナム人にとって、アルバイトが許可されている日本は留学先として選びやすいという理由もあります。

アメリカやカナダなど国によっては、留学生の就労が禁じられている国もあります。

それに対して、日本では留学生のアルバイトが許可されている(週28時間)ため、学費や生活費を稼ぎながら学校に通うことができます。

ベトナム人留学生の中には仕送りのみで学費・生活費をまかなっている学生は少なく、働きながら留学ができる日本は留学先として選びやすいのです。

 

ベトナムと日本の経済格差が縮まってきた

この10年の間で、ベトナムと日本の経済格差が縮まってきたことも理由として挙げられます。

以前は日本とベトナムの物価は数十倍もの差がありましたが、現在は数倍程度になりました。

そのため、単純に日本へ留学に来やすくなったという理由があります。

さらに、ベトナム国内の教育水準もあがり国内の大学や専門学校を卒業しても良い職につけないという問題から、日本の大学へ進学したいという学生も増えています。

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ベトナム人留学生の進学先

勉強している女性

日本語学校卒業後のベトナム人留学生の進学先は、専修学校/専門学校がもっとも多く、次いで大学の学部課程短期大学となっています。

専修学校とは?

専修学校は、専門課程(専門学校)、高等課程(高等専修学校)、一般課程のいずれかまたは複数がおかれている学校のことをいいます。高等課程のみを置く専修学校は少なく、「専門学校」と称して専門課程とともに高等課程が置かれる専修学校が多いという実態があります。

一般財団法人日本語教育振興協会『令和2年度 日本語教育機関実態調査』によると、令和元年度中に日本語教育機関を修了したベトナム人留学生の進学先は、以下のとおりです。

大学院 大学 短期大学 専修学校 各種学校 大学別科 高校等
正規課程 研究生等 正規課程 その他
11 6 606 3 66 4,849 6 6 19 5,612

上記の表を見てみると、ベトナム人留学生全体の実に85%以上が「専修学校」に進学していることがわかります。「大学」へは全体の約10%が進学しています。

 

ベトナム人留学生の卒業後の進路

進路

ベトナム人留学生の多くは、日本での留学を終えたあと母国に帰って就職をする道を選びます

ベトナム国内には日系企業も多く、「日本の留学経験を活かして日系企業に就職し高収入の仕事を得たい」という目標を持って留学に来るベトナム人は多くいます。

ベトナム国内の大学を卒業しても高収入の仕事に就くことはなかなか難しい、という母国での就職事情が影響しているのです。

 

ベトナム人留学生が抱える問題

ベトナム人留学生が抱える問題として、やはり経済的な厳しさがあげられます。

母国で借金をして来日する学生も

ベトナム人留学生には、日本へ留学に行くために母国で借金をして来日するという学生がいます。

中には、「留学の初期費用をまかなうために100万円の借金をしてきた」というケースもあります。

経済的にギリギリの状態で来日する留学生がいる中で、最近では「来日時に背負った借金を返済するため留学生が失踪した」という残念なニュースも出てきています。

 

学費を稼ぎながらの学生生活

仕送りもなく、留学中のアルバイトで学費・生活費を稼ぐなかでアルバイトと学業を両立させるのに苦労しているベトナム人留学生が多くいます

都内のコンビニエンスストアなどで、アルバイトとして働くベトナム人の姿をよく見かけるという方も多いのはないでしょうか。

さらに最近では、コロナウイルスの影響で仕事がなくなり、生活に困窮する留学生も多く出てきています。

 

このように、学業に関する悩みをもつ以前に、経済的な理由で苦労している留学生が多くいるのです。

一方で、ベトナムと日本の経済格差が縮まってきていることもあり、学費を稼ぐのに精一杯という学生はだんだんと減ってきています

 

ベトナム人留学生について【まとめ】

  • ベトナム人留学生数は中国に次いで2番目に多い
  • ベトナム人留学生数は過去10年で15倍以上増加した
  • 日本語学校卒業後85%以上は「専修学校」へ進学している
  • 借金を抱えたり学費稼いだりと経済的に苦労している学生が多くいる
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伊藤えり子

関東在住の現役日本語教師。日本語教育能力検定試験、日本語教師養成講座を保持。実際の指導はもちろんのことオンライン事業立ち上げや教材の開発、また一般企業で経験を活かした独自の視点で情報を発信中。日本語情報バンクのライター
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