韓国人留学生は年々減っている?日本へ来る目的、進学先の特徴とは

韓国人留学生の特徴

こちらの記事では、留学生と関わる機会の多い日本語教育関係で働いている方、韓国人留学生を採用しようと検討中の企業担当者等に向けて、『韓国人留学生の特徴』についてくわしく解説していきたいと思います◎

「韓国人留学生は日本にどれくらいいるの?」

「韓国人留学生はここ最近、増えている減っている?」

「どのような目的で日本に来る人が多いの?」

韓国人留学生と関わるなかで、このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

そういった方に向けて、上記のような疑問にお答えしながら韓国人留学生の現状をお伝えします!

 

この記事で分かること

  • 韓国人留学生の数
  • 韓国人留学生は増えている、減っている?
  • 韓国人留学生の進学先の特徴
  • 韓国人留学生の卒業後の進路
  • 韓国人留学生が抱える苦悩とは

韓国人留学生の数はどれくらい?

韓国の都市

日本学生支援機構がおこなった『2020(令和2)年度外国人留学生在籍状況調査結果』によると、令和2年5月1日現在日本国内にいる留学生数は27万9,597人となっています。

そのうち、韓国人留学生は1万5,785人国地域別では中国、ベトナム、韓国に次ぐ第4目に多い数となっています。

上記の数字から、留学生全体に占める韓国人留学生の割合は約5.6%ほどとなっています。

国(地域)名 留学生数(人)
令和2年度 令和元年度
中国 121,845 124,436
ベトナム 62,233 73,389
ネパール 24,002 26,308
韓国 15,785 18,338
台湾 7,088 9,584

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)『2020(令和2)年度外国人留学生在籍状況調査結果』より参照

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韓国人留学生は増えている?減っている?

卒業式

韓国人留学生は減少している

実は、日本に来日する韓国人留学生数は年々減ってきています

こちらに日本学生支援機構が実施した『外国人留学生在籍状況調査結果』の2020年と2010年のデータを記載しているので、ご覧ください。

2020年】日本学生支援機構『外国人留学生在籍状況調査結果』

国(地域)名 留学生数(人)
令和2年度 令和元年度
中国 121,845 124,436
ベトナム 62,233 73,389
ネパール 24,002 26,308
韓国 15,785 18,338
台湾 7,088 9,584

2010年】日本学生支援機構『外国人留学生在籍状況調査結果』

国(地域)名 留学生数(人)
平成22年度 前年比
中国 86,173 (7,091人(9.0%)増)
韓国 20,202 (597人(3.0%)増)
台湾 5,297 (▲35人(▲0.7%)減)
ベトナム 3,597 (398人(12.4%)増)
マレーシア 2,465 ( 70人(2.9%)増)

上記の表を見てみると、今から約10年前の2010年には国別の留学生数は、中国に次いで2番目に多いのが韓国でした

しかし2020年には4番目へと順位が下がっています

さらに具体的な人数を見てみると、中国や台湾、ベトナムはこの10年で増加しているのにもかかわらず、2010年は20,202人、2020年は15,785人と、韓国人留学生数は減少していることがわかります。

この10年で韓国人留学生数が減少した要因は、どこにあるのでしょうか?

 

日本語学習者数の減少

もっとも大きな要因としては、韓国人の日本語学習者が減少したことがあげられます。

国際交流基金が3年ごとに実施する『海外日本語教育機関調査』によると、2012〜2018年の韓国における日本語学習者数は、以下の通り減少傾向をたどっています。

(公的・民間教育機関における日本語学習者数のため、趣味などで独学している学習者数は含んでいません。)

韓国人留学生数
2012年 840,187人
2015年 556,237人
2018年 531,511人

 日本語学習者数が減少した理由としては、「少子化の影響」「英語教育に力を入れるため中高等機関での日本語教育が縮小傾向にある」という2つの要因があるとのことです。

 

人気の留学先は欧米圏

もう一つは、韓国人にとってアメリカ、イギリスなどの欧米圏への留学が人気であることです。

韓国では、卒業後の就職活動は競争が激しく「英語ができるのは当たり前」という風潮があります。

そんな中で「英語力を磨きたい若者の多くが英語圏への留学を選ぶ」という流れがあるのです。

一方ですでに英語をマスターしている学生の中には、英語のほかにもう一つ言語を極めようと日本を留学先として選ぶ人も多くいます。

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韓国人留学生の進学先

勉強する人

一般財団法人日本語教育振興協会『令和2年度 日本語教育機関実態調査』によると、令和元年度中に日本語教育機関を修了した韓国人留学生の進学先は、以下のとおりとなっています。

大学院 大学 短期大学 専修学校 各種学校 大学別科 高校等
正規課程 研究生等 正規課程 その他
11 3 121 1 3 355 4 0 0 498

上記の表からみると、日本語学校を修了した調査対象の韓国人留学生498人のうち、大多数の355人が専修学校、122人が大学へ進学していることがわかります。

割合でいうと、韓国人留学生の約71%は専修学校、約24%が大学へ進学していることになります。大学院へ進学する学生は全体の約2.8%となっています。

専修学校とは?

専修学校は、専門課程(専門学校)、高等課程(高等専修学校)、一般課程のいずれかまたは複数がおかれている学校のことをいいます。高等課程のみを置く専修学校は少なく、「専門学校」と称して専門課程とともに高等課程が置かれる専修学校が多いという実態があります。

 

韓国人留学生が抱える悩み

韓国人留学生が抱える悩みは日本の留学に関するものではなく、主に母国での『超学歴社会』『就職活動における競争力の激しさ』による”将来への不安”が大きくあります。

「超学歴社会」から逃れるため日本に来る学生も

超学歴社会である韓国では、受験戦争や就職活動の厳しさ、親からのプレッシャーから逃れるために日本へ留学を決めた学生もいます。

諸外国と比較すると「日本の大学は、偏差値の高い大学でなければ入学がしやすい、卒業もしやすい」と見られており、アメリカなど英語圏への留学が叶わなかった学生が留学先として日本を選ぶといった話も聞きます。

韓国人留学生だけにとどまる話ではありませんが、上記のような理由で「強い希望をもって日本へ留学に来た学生ばかりではない」という現実もあるようです。

 

韓国人留学生の卒業後の進路

韓国人留学生の卒業後は、そのまま日本で就職をするか、帰国して日本語力を活かせる日系企業などに就職する、という2パターンがあります。

「韓国で大手企業就職を目指し厳しい就職活動争いに参加するよりも、日本で就職活動がしたい」「日本の文化が肌に合っている」という学生は日本での就職を目指します。

一方で、留学で身につけた日本語力を活かして、韓国国内の日系企業に就職する学生も多くいます。韓国の就職活動においては「英語以外の第2言語が話せる」ことが採用において高評価につながることも多くあるのです。

 

韓国人留学生について【まとめ】

  • 韓国人留学生は、国別に4番目に多い留学生数
  • ここ10年で韓国人留学生数は減少傾向にある
  • 減少の要因は「少子化」「英語教育への注力」「留学先は欧米が人気」
  • 日本語学校終了後の進学先は「専修学校」「大学」が大半を占める
  • 母国での厳しい競争社会の中で生きづらさを感じる留学生が多くいる
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伊藤えり子

運営情報
関東在住の現役日本語教師。日本語教育能力検定試験、日本語教師養成講座を保持。実際の指導はもちろんのことオンライン事業立ち上げや教材の開発、また一般企業で経験を活かした独自の視点で情報を発信中。日本語教師キャリア マガジンのライター
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