みなさんは「日本語教師の資格が国家資格になる」「登録日本語教員という新たな資格ができる」という噂を耳にしたことはありますか?
最新情報によると、2023年3月21日に国家資格創設などを含む新法案を政府が閣議決定し、このまま国会で新法案が成立した場合、日本語教師の資格は2024年4月に国家資格化(通称: 登録日本語教員)される予定になっています。
(※2022年5月に”公認日本語教師”から”登録日本語教員”へ名称が変わっています。)
本記事では日本語教師資格の国家資格化について、これまでの経緯や現在わかっている最新情報についてまとめています。
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目次
現状の日本語教師資格について
まずは現状(=国家資格化される前)の日本語教師資格の概要を記載します。
法務省 「日本語教育機関の告示基準」によると、現在日本語教師になるための資格を取得するためには、以下のいずれかに該当する必要があります。
全ての教員が,次のいずれかに該当する者であること。
- 大学(短期大学を除く。以下この号において同じ。)又は大学院において日本語教育に関する教育課程を履修して所定の単位を修得し,かつ,当該大学を卒業し又は当該大学院の課程を修了した者
- 公益財団法人日本国際教育支援協会が実施する日本語教育能力検定試験に合格した者
- 学士の学位を有し,かつ,日本語教育に関する研修であって適当と認められるものを420単位時間以上受講し,これを修了した者
- その他1から3までに掲げる者と同等以上の能力があると認められる者
法務省 「日本語教育機関の告示基準」より作成
注意しておきたい点として、3「日本語教育に関する研修であって適当と認められるものを420単位時間以上受講し,これを修了した者」の”適当と認められるもの”というのは、具体的にいうと「文化庁に届出受理されている講座」のことを指しています。
日本語教育の420時間の講座はたくさんありますが、きちんと文化庁に受理されているものでないと資格として無効になってしまうので注意しましょう。
日本語教師になることを検討している方は下記のページに概要がまとめられていますので、確認してみて下さい。
日本語教師の国家資格化について
現在民間資格となっている日本語教師の資格はこれから国家資格となる予定です。
国家資格となることで下記のような変更があります。
日本語教師資格を国家資格にする背景
日本語教師資格を国家資格にする背景には下記があります。
1: 日本が外国人を受け入れていくにあたり、専門家としての資質・能力をもつ質の高い日本語教師が活躍することで、日本語学習環境を整備することが重要であると考えられています。
2: また国家資格化により、日本語教師の職業としての社会的認知を高め、日本語教師の養成教育を普及・推進することを通して日本語教師の量の確保につながります。
3: さらに、最近では日本語教育が必要な分野・領域が留学・就労・生活など拡大していることから、多様な背景をもつ日本語教師が求められています。
そのため、国家資格化することで、日本語教師が社会人を含む幅広い世代に目指される職業となることにつなげたいという考えがあります。
日本語教師の国家資格化はいつから?
現時点ではすでに政府が新法案を閣議決定している状態で、このまま新法案が国会で成立した場合「2024年4月」に試行される予定となっています。
日本語教師が国家資格になるメリット
国家資格になることで、“日本語教師”という職業の認知度や社会的な権威性は上がることが期待されます。
それ以外のメリットで言うと、日本語教師の方にとっては残念ながら未だ見つかっておりません。(新たに試験や教育実習を受ける負担が増えるため。)
引き続き、文化庁では公認日本語教師(名称が2022年5月以降変わり”登録日本語教員”)の制度概要を詰めている最中ですので、日本語教師にとってもさらなるメリットのある制度となる事を期待しましょう。
日本語教師が国家資格になることで給料は上がる?
残念ながら、現時点で文化庁で話し合われている内容から鑑みると、国家資格になったからと言って給料が上がることに直結はしないでしょう。
もし今後、政府から国家資格保有の日本語教師(登録日本語教員)への補助金支給などが決定すれば、給与の上昇も見込めるかもしれません。
公認日本語教師はなくなったの?
2022年5月に実施された文化庁の有識者会議において今まで「公認日本語教師」と呼ばれていた国家資格の名称から「登録日本語教員」へと名称が変更になりました。
日本語教育の現場からは「公認日本語教師はなくなった」「日本語教師の国家資格化がなくなった」と混乱する声も上がってきている様ですが、国家資格化は継続されており、”登録日本語教員”という名称で現在は呼ばれています。
登録日本語教員(旧称: 公認日本語教師)になるための要件
国家資格の資格取得要件について、文化庁は下記のように公表しています。
1.日本語教育能力を判定する試験
- 受験資格の制限はない。例えば、大学在学中に受験・合格し、大学卒業と同時に、資格取得要件を満たした上で登録することは可能。
- 試験回数は年1回以上とし、試験地は全国各地とする
- 出題形式は筆記試験
- 試験の構成
筆記試験① | 原則として、出題範囲の区分ごとの設問により、日本語教育の実践につながる基礎的な知識を測定する。 |
筆記試験② | 出題範囲が複数の区分にまたがる横断的な設問により、熟練した日本語教師の有する現場対応能力につながる基礎的な問題解決能力を測定する。 |
2.教育実習
- 教育実習は指定日本語教師養成機関における履修・修了が必要
- 教育実習は、原則対面で(1)オリエンテーション(2)授業見学(3)授業準備(4)模擬授業(5)教壇実習(6)教育実習全体の振り返りを学習することを必須とする
日本語教師の国家資格化の経過措置について
上述の通り、登録日本語教員(旧称: 公認日本語教師)になるためには1.日本語教育能力を判定する試験の合格と2.教育実習の履修・修了の2つを満たす必要があると言われています。
一方で現職日本語教師に対する経過措置については、以下のような内容が検討されていますのでご覧ください。
※文化庁「日本語教育の質の維持向上の仕組みについて(報告)」(案)より引用
全員が「登録日本語教員」になる必要があるの?
「経過措置はあれど、すでに現役教師をしている人もいずれは全員が登録日本語教員を目指さなくてはならないの?」と不安や疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、今後は文化庁が『認定校』として定めた日本語学校で働く場合のみ、登録日本語教員としての資格を有している必要があります。
逆にいうと認定校以外で個人で教えたい場合や海外の教育機関で働く場合は、かならずしも登録日本語教員である必要はないのです。
しかしながら、今後国家資格化されたあとは認定校以外の教育機関においても、求人募集の際に「登録日本語教員であること」という条件が求められるケースも考えられるでしょう。
これから日本語教師を目指す人はいつ資格を取れば良い?
国家資格化が決まった今、日本語教師を目指すのはいつが良いか迷う人もいるでしょう。
もし出来るだけ早く日本語教師として働き始めたいと考えてる場合は、筆記試験の免除等の経過措置が設けられているため、今すぐに日本語教師の資格を取得してもそれが無駄になることは一切ありません。(現状の日本語教師資格を取得するには6ヶ月~1年が通常かかります。)
ただ、もし「現在の日本語教師資格を取った後で、(経過措置があったとしても)再度新しく施行された国家資格を取り直すのは絶対に避けたい」という事でしたら、文化庁の動向を待ってから資格取得の判断をするのが良いでしょう◎
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日本語教師キャリア マガジン編集部
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