日本語教師は国内外問わず仕事が出来るので、海外で働きたいと思っている人が多いです。
また、日本語教師に転職して、海外に移住したいという人も増えてきています。
カンボジアの日本語教育の歴史は、まだあまり長くはありませんが、大きな可能性を秘めています。
では、カンボジアの日本語教育事情はどうなっているのか、現地でのネイティブ日本語教師の役割、採用条件や待遇など、カンボジアで日本語教師になるために知っておきたい情報や求人を紹介します。


カンボジアでの日本語教育事情
国際交流基金による2015年度「海外日本語教育機関調査」結果報告書によるとカンボジアは、機関数が25(2013年)から29(2015年)で+4機関増えています。(増加率は+3.3%)
カンボジアで働く日本語教師の数はというと、142人(2012)から157人(2015)で+15人と学習者と同じく増えています。(増加率+10.6%)
カンボジアでの日本語学習者
学習者数も3881人(2012年)から4009人(2015年)+128人増えています。(増加率+3.3%)
学習者数の全体の順位は30位とあまり高くないですが、教員数、機関数、学習者数共に、わずかに増加しています。
学習者の内訳(2015年)は、民間の学校などを含むその他の機関が最も多く2763人で、続いて中等教育段階が648人、高等教育段階(大学や大学院相当レベル)が583人となっています。
カンボジアでは都市部とその他の地域で経済格差が大きく、電気や水道のない地域も多いです。
日本語教育の多くも都市部で行われていますが、日本の大学や日本語学校に自力で留学できる人は非常に少ないです。
小学校の就学率は比較的高く、修了率も向上してきていますが、学校運営の体制や質はまだ十分とは言えません。
学習者は主に、都市部では大学生か社会人、大学進学率の低い地方では若年層です。
カンボジア全土ではまだ初級レベルの学習者が多いですが、少しずつ教師、そして学習者のレベルも上がってきています。


カンボジアの歴史と日本
言語学習は、その国同士の関係に影響を受けることも多いです。
まずは少しだけ、カンボジアの歴史についてご紹介します。
カンボジアは1970年代のポル・ポト政権やヘン・サムリン政権の時代においても内戦が続いていました。
ポル・ポト派による国民の大虐殺、カンボジア内における各派の闘争、隣国ベトナム戦争への介入などにより、カンボジアはほぼ壊滅状態になり、多くの国民が命を落とすことになりました。
諸説ありますが、当時のカンボジアの人口の約20%である約200万人が犠牲になったと言われています。
日本はこのカンボジアの復興に向けて様々な活動を行ってきました。
オーストラリアやインドネシアとともに、世界中に対してカンボジアの和平交渉を呼びかけ、パリ和平協定を実現させたりUNTAC(国連カンボジア暫定統治機構)設置に協力したり、インフラ整備や職業訓練を行ったりなどです。
PKOヘの初の自衛隊派遣も行いました。
その結果、カンボジア人にとって、日本は経済大国や友好国としてのイメージが強くなりました。
カンボジアの日本語人気
ポル・ポト時代に教育や文化がかなり破壊されているため、読書などの習慣は浸透していませんが、「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」などのマンガや日本アニメなどが少しずつ知られてきています。
2012年、大使館とカンボジア日本人材開発センター(CJCC)が開催した絆フェスティバルでのコスプレショーをきっかけに、コスプレ、コミックショーの参加者も増加しています。
日本のポップカルチャーファンがいることもわかってきたため、今後は日本のポップカルチャーから日本語学習に興味を示す人が出てくる可能性はあります。
しかし、一般的には就職で有利な英語の人気が高いです。




求人から見るカンボジアの日本語教師
では、実際にカンボジアの日本語教育機関で募集されている日本語教師にはどのような条件が求められているのでしょうか。
ネイティブ日本語教師の役割と応募条件
大学で教える場合でも修士までは求められないことが多いです。
求人情報を見ていると日本語教育資格として、
- 四年制大学卒業以上(日本語を主・副専攻)
- 日本語教師養成講座420時間修了
- 日本語教育能力検定試験合格
という日本の日本語学校の告示校が求めている日本語教師ガイドラインと変わらないものが挙がっていました。
また、そのほかに3年以上の経験などを求められる場合もありますが、大学によっては日本語教育の資格は問わず、日本語以外の専門科目を教えられる人物が望ましいとしているところもあるようです。
正規日本語コースを実施する大学・機関では、国際交流基金派遣の日本語専門家以外の日本人教師は正規雇用あるいは契約の形を取ることが多いです。
日本人教師は、初級~中級の授業全般、会話授業や中上級レベル中心に担当、専門科目の担当、カンボジア人教師とのチームティーチング、カンボジア人教師の教授法や教務の指導など、機関によってさまざまな役割があります。
しかし、現在カンボジアでの募集の数はあまり多くありません。
カンボジアの日本語教育はボランティアの日本語教師が行っているところも多いため、教員募集もあまり行われていないようです。
カンボジアでの日本語教師の待遇
カンボジアでの日本語教師の求人を見ていると、基本給として提示されているのは15万〜20万(月給1500~2000$)でした。
流通通貨はカンボジアの「リエル」もありますが、観光地や都市部では基本的にはドルが使われています。
給与以外の待遇は特に記述されていないところが多かったのですが、実際手当などはあまりなく(渡航費だけは出してくれるところもあるようですが)この金額から税金が引かれるという感じのようです。
物価は、日本よりは安く、普通に生活する分には問題ないですが、他のアジア諸国に比べると高いため、先の給料で豊かな生活ができるかと言われると少し難しいところです。
(1000$以下の給料だと結構厳しいみたいです…)
また、カンボジアにいると日本人コミュニティーの中で求人情報をもらったり、引き抜きにあったりする場合も多いそうです。
企業で日本語を教えることができた場合、ある程度の給料が保証されるようなので、現地に行ってから、より良い仕事を紹介してもらうというのも一つの手ですね。
まとめ
カンボジアで日本語教師になるために必要な情報をまとめると
- 日本語教育が盛んというわけではないが、今後より必要とされていく可能性が高い
- 親日的感情が強く、日本人が働きやすい環境
- 学士の学歴でも大学で働ける可能性が高い
- 給与は高いわけではないが現地で生活はできる
カンボジアはまだ日本語教育機関や学生数も多いとは言えませんが、親日感情の強い国で、近年は経済的にも発展しているので、日本人にとっても働きやすくなっています。
また、今後技能実習生や日本に留学したいという人が増える可能性もあるので、要チェックです!







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