日本語教師は国内外問わず仕事が出来るので、海外で働きたいと思っている人が多いです。
また、日本語教師に転職して、海外に移住したいという人も増えてきています。
中でもフィリピンは近年日本語の学習者の数も増え注目を集めている国で、海外で働きたいという日本語教師にも人気が高いです。
では、フィリピンの日本語教育事情はどうなっているのか、現地でのネイティブ日本語教師の役割、採用条件や待遇など、フィリピンで日本語教師になるために知っておきたい情報を紹介します。

目次
フィリピンでの日本語教育事情
まず、フィリピンの日本語教育事情についてまとめます。
国際交流基金による2018年度「海外日本語教育機関調査」結果によるとフィリピンは、機関数が209(2015年)から315(2018年)で+96機関増えています(増加率は+50.7%)。
フィリピンで働く日本語教師の数はというと、721人(2015)から1,289人(2018)で+568人と学習者と同じく増えており、2015年と比べた時に急激に増えているということがわかります (増加率+78.8%)
フィリピンの日本語学習者
学習者数も50,038人(2015)から51,530人(2018)+1492人増えています。(増加率+3.0%)
フィリピンの学習者数は、今回の速報で順位を2つ上げて10位になりました。
学習者の内訳は、民間の学校などを含むその他の教育機関が最も多く25,393人で、続いて高等教育機関(大学や大学院相当レベル)が13,508人、中等教育機関が11,412人となっています。
フィリピンでは、日本との経済格差と地理的近接から、日本語は観光業関連あるいは就労目的といった限られた動機で学ばれることが多かったため、教育機関よりも、民間で学ぶ人の方が多いです。
しかし、近年、公教育の中に日本語が位置付けられるようになってきました。
2009年、フィリピン教育省が日本語・スペイン語・フランス語を試験的に外国語選択科目としてフィリピンの公立高校で実施することを正式に発表したこと(「Special Program in Foreign Language」)で11校約1,350名の高校生たちが日本語を学び始めました。
そして、2009年には、大学で日本語教育に従事するフィリピン人教師とマニラ日本文化センター日本語専門家で「フィリピン中等教育教材作成チーム」が立ち上がり、教材開発も進められました。
また、基礎教育段階を2年延長する政策「K to 12」が2013年に法制化され、公立高校の必修科目の一つとして外国語教育プログラムを含んだ特別カリキュラムが履修の選択肢にも設定されました。
現在、公立高校で日本語教育に携わっている教師は130名、2017年の教育省の発表によると学習者は3,020名だそうです。
フィリピンでの日本語人気
歴史上の問題があるので、年齢層が高い人達は日本に対しあまりいい印象を持っていない人も多いようですが、若者の多くは比較的いい印象を持っているようです。
これはフィリピンでもアニメや漫画が人気なので、それに影響をうけているみたいですね。
日本語の人気も高く、大学の選択外国語の中では1番の人気を誇っています。
ですが、同じアジアのポップカルチャーとしては、K-POP や韓国ドラマに圧倒的な人気が集まっているようで、韓国語学習に対する関心が高まっているようです。
また、このようにポップカルチャーに関心を持って学習を始める人もいますが、就労目的で学習し、高度人材ビザで日本での就職を目指す学生も多くいるようです。
近年、日本語能力試験の受験者も増えており、特にN4の受験者が急増しています。技能実習や特定技能に学生を送り出す機関からの応募者が増えており、今後もこの傾向が続くことが予想されます。


日比経済連携協定(EPA)
日本・フィリピン経済連携協定は、貿易及び投資の自由化及び円滑化、人の移動、ビジネス環境の整備、また人材養成をはじめとした幅広い分野での協力等について2国間で締約した協定で、2008年12月11日に発効しました。
2009年度は合計310人、2010年度は合計128人、2011年度は合計131人、2012年度は合計101人、2013年度は合計150人の看護師候補者と介護福祉士候補者が来日し、日本語研修や看護・介護導入研修を受けています。
これに伴い、国際交流基金では、2020年度経済連携協定(EPA)の日本語予備教育事業において、現地での日本語講師募集していました。
今年度の募集は終了していますが、また来年募集がある可能性はありますので、興味がある方はこちらをご覧ください。(現在募集は終了しています。)
https://www.jpf.go.jp/j/about/recruit/epa_2020.html




求人から見るフィリピンの日本語教師
では、実際にフィリピンの日本語教育機関で募集されている日本語教師にはどのような条件が求められているのでしょうか。
ネイティブ日本語教師の役割と応募条件
主に、日系企業の社員研修や民間の日本語学校において常勤あるいは非常勤枠で日本人教師が雇用されているようです。
配偶者がフィリピン人でフィリピンに在住している人以外にも、ボランティアあるいは民間の日本語学校からの派遣など、様々な枠組みで日本人が日本語教師としてフィリピンに来ています。
しかし、実際は雇用形態が不安定な場合も少なくないです。
また、フィリピンではなく、セブ、マニラで求人が出ているものが多いです。
過去の求人情報を見てみると、
日本語教育振興協会が定める有資格者(①~③のいずれか)
①日本語教育能力検定試験合格
②日本語教師養成講座420時間終了
③大学での日本語教育専攻または副専攻
経験者優遇あり、未経験の方、新卒の方も募集しております
という、国内の日本語学校で提示されている条件とほとんど同じ条件で募集しているところが幾つかありました。
フィリピンは多言語国家ですが、ビジネスでは英語を使用する場合が多いので日常会話程度の英語力が求められることがあります。
基本的には、教師が不足しているので、N4レベルに満たない教師が日本語を教えている場合もあるとのことです。
教えるレベルとしては主に0初級からN4合格レベルまでもっていくところが求められています。
フィリピンでの日本語教師の待遇
フィリピンの過去の日本語教師の求人から日本語教師の待遇をみてみると、
月収は10万から15万程度(50000PHP〜70000PHP)のところが多く、経験によっていくらか変動してくるようです。
フィリピンでの現地採用者の最低月収は、マニラ:18万円前後/月収セブ:8万円前後/月収みたいなのでだいたい平均くらいの収入は見込めそうですね。(以下のサイト参照)
https://philippines-university.jp/philippines-fare/
また、フィリピンは物価が日本の1/3と言われており、かなり安いので、この金額でも十分生活していける金額となっています。


フィリピンで日本語教師の求人を探す
実際に日本語教師の求人を探す場合は、求人サイトに様々な募集が載っていますので、調べてみましょう。
探す際は、「フィリピン 日本語教師」よりも、「マニラ 日本語教師」「セブ 日本語教師」の方が出てくる可能性が高いです。
求人サイトについてはこちらでまとめていますので、参考にしてみてください。
日本語教師の求人サイトまとめ
しかし、求人まとめサイトに載っている求人は色々ありますが、時にはもう締め切りを過ぎているものや、すでに採用者が決まり受付を終了しているものが載っていることもありますので、注意してください。
せっかく見つけた求人も応募できなければ意味がありません。
求人サイトから学校HPを探して直接問い合わせるということもできますが、一つ一つ求人サイトを確認して募集を調べるのはかなり面倒くさいし、骨が折れる作業です。
【フィリピンで日本語教師】まとめ
フィリピンで日本語教師になるために必要な情報をまとめると、
- フィリピンでは民間の日本語学校で学ぶ学習者が一番多いが、中等機関で学ぶ学習者も増えてきている
- ポップカルチャーからではなく、就労目的で学ぶ学習者が多い
- 求人の応募条件は日本の告示校で募集している日本語教師ガイドラインと変わらない
- 給与は学校によって異なるが、現地採用と同じくらいで、生活には困らない程度
これからより注目されていくであろうフィリピンで日本語教師を目指してみてはいかがですか?







すーみん



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