日本語教師が気をつけるべき著作権の内容は?わかりやすく解説

日本語教育と著作権

日本語教育能力検定試験の勉強をしていると「著作権」が出てきます。

著作権は知っているけど….
日本語教師として、どんな点に気をつければいいのかな….

このように感じていらっしゃる方も多いと思います。

本記事は「日本語教師と著作権」についてどこよりもわかりやすく解説。

日本語教育能力検定試験を受験予定の方、日本語教師の先生は最後までお読みください。


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著作権とは

著作権

「著作権」は著作物を創造した人に与えられる権利です。

著作物を無断でコピーされたり、インターネット上で勝手にアップロードされたりしないようにするための権利で、第三者が該当の著作物を利用したいと申し出た時には、著作者の意思で拒否したり、条件付きで許可したりできます(ただし、権利が制限されている一部の場合を除きます)。

著作物については著作権法第二条第一項で「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」とされ、著作者については著作権法第二条第二項で「著作物を創作する者をいう。」とあります。

思想又は感情を創作的に表現したものとは、逆に言えば、単に事実を表現したものは著作物とはならないこと、思想又は感情を持つのは人間に限定された行為なので、人間以外が創作したものは著作物とはならないこと、創作的に表現したものはあらゆる個人が見えるかたちで表出したものを意味します。

著作物の例示については著作権法第十条第一項の一から九に以下のようにあります。

第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物

このほか、著作権法第十一条には「二次的著作物」、同第十二条には「編集著作物」、同第十二条の二には「データベースの著作物」、同第十三条には「権利の目的とならない著作物」について記載されています。

日本語教育能力検定試験と著作権

検定試験の出題範囲において「著作権」は「言語と教育」に該当します。
日本語教育とICT、教材分析・作成・開発、授業計画などとも関連がある項目です。

区分主要項目
社会・文化・地域世界と日本の社会と文化/日本の在留外国人施策/多文化共生(地域社会における共生)/日本語教育史/言語政策/日本語の試験/世界と日本の日本語教育事情
言語と社会社会言語学/言語政策と「ことば」/コミュニケーションストラテジー/待遇・敬意表現/言語・非言語行動/多文化・多言語主義
言語と心理談話理解/言語学習/習得過程(第一言語・第二言語)/学習ストラテジー/異文化受容・適応/日本語の学習・教育の情意的側面
言語と教育日本語教師の資質・能力/日本語教育プログラムの理解と実践/教室・言語環境の設定/コースデザイン/教授法/教材分析・作成・開発/評価法/授業計画/教育実習/中間言語分析/授業分析・自己点検能力/目的・対象別日本語教育法/異文化間教育/異文化コミュニケーション/コミュニケーション教育/日本語教育とICT/著作権
言語一般言語学/対照言語学/日本語教育のための日本語分析/日本語教育のための音韻・音声体系/日本語教育のための文字と表記/日本語教育のための形態・語彙体系/日本語教育のための文法体系/日本語教育のための意味体系/日本語教育のための語用論的規範/受容・理解能力/言語運用能力/社会文化能力/対人関係能力/異文化調整能力

本記事では、日本語教育現場における著作権の具体例は、入試問題に既存の著作物を使用する場合や、授業で教員が作成する教材に既存の著作物を使用する場合などがあります。

日本語教育における著作権の具体例

日本語教師が著作権に気を付けたい場面として、具体的に下記3事例をそれぞれ見てみましょう。

日本語教育における著作権の具体例
  • 入試問題に既存の著作物を使用する場合
  • 授業で教員が作成する教材に既存の著作物を使用する場合
  • インターネットを活用して他校と同時双方向の授業や反転学習をする場合

入試問題に既存の著作物を使用する場合

〇「入試問題に既存の著作物を使用する場合」は、著作権法第三十六条第一項に「公表された著作物については、入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験又は検定の問題として複製し、又は公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあっては送信可能化を含む。次項において同じ。)を行うことができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。」とあります。

つまり、入試出題のために使う場合は著作者の許諾を得る必要がないということです。
「入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において」とありますので、そうでないものは許諾を得る必要があるということです。また「公衆送信」という言葉がありますが、これは不特定多数に無償有償関係なく情報が届いている状態を意味します。

授業で教員が作成する教材に既存の著作物を使用する場合

〇「授業で教員が作成する教材に既存の著作物を使用する場合」は、著作権法第三十五条第一項に「学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、公表された著作物を複製し、若しくは公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。以下この条において同じ。)を行い、又は公表された著作物であつて公衆送信されるものを受信装置を用いて公に伝達することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該複製の部数及び当該複製、公衆送信又は伝達の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。」とあります。

つまり、授業のために教員が他人の作品の一部を利用して教材を作成し、プリントとして配付する場合は著作者の許諾を得る必要がないということです。
「その授業の過程における利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において」「ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該複製の部数及び当該複製、公衆送信又は伝達の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は」とありますので、以下のような場合は著作者の許諾を得る必要が出てきます。

(著作者の許諾を得る必要がある場合の例)

・市販の商品と同様な形態で製本する
・授業に直接関係のない人に対し配付するために複製する
・ワークブックやドリル教材などを学生の人数分コピーして配付する
・学習用ソフトウェアなどを学生が使用する複数のパソコンにコピーする

インターネットを活用して他校と同時双方向の授業や反転学習をする場合

〇「インターネットを活用して他校と同時双方向の授業や反転学習をする場合」は前述した著作権法第三十五条第一項、第二項に「前項の規定により公衆送信を行う場合には、同項の教育機関を設置する者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。」とあります。

つまり、基本的にはインターネットを活用した授業や教材を提供するにあたって著作物を使用する場合は著作者の許諾を得る必要はありませんが、著作者に補償金を支払う必要があります。

2018年5月の法改正で「授業目的公衆送信補償金制度」が創設され、2021年4月から実施されています。これは、ICTを活用した教育での著作物利用の円滑化を図る目的で、これまで認められていた遠隔合同授業以外での公衆送信についても、教育機関の設置者が、指定管理団体に補償金を支払うことで許諾なしで行うことが可能になったというものです。

ここで注意が必要なのは、著作権法第三十五条で対象の学校その他の教育機関は、「営利目的として設置されているものを除く」ことが条件となっています。

日本語教師として、営利目的でのオンデマンド授業や録画配信を実施する場合については、使用する教材の著作権について確認のうえ、使用すると安心です。

参照:文化庁令和2年 授業目的公衆送信補償金制度の概要

まとめ

本記事は「日本語教育と著作権」について解説してきました。

内容をまとめると….

  • 「著作権」:著作物を創造した人に与えられる権利
  • 「著作者」:著作物を創作する者
  • 入試出題のために使う場合は許諾を得る必要がない
  • 授業のために教員が他人の作品の一部を利用し作成し配付する場合は許諾を得る必要がない
  • インターネットを活用した授業や教材を提供する目的で使用する場合は、非営利の場合に限って許諾を得る必要はないが、教育機関設置者が補償金を支払う必要がある

ICT教育については、下記の記事でまとめています。

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池田早織

運営情報
フリーランスの日本語教師兼ライター。日本語教育能力検定試験合格、日本語教師養成講座420時間修了。公的教育機関での常勤講師、技能実習生向けの日本語会話動画作成など、社会人や留学生、外国人児童・生徒への指導を含め上級者から初級者まで幅広く経験。アジア圏、欧米圏問わずこれまで約5,000人以上の指導に携わる。
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