日本語教師として働く際、求められる条件の一つに「420時間日本語教師養成講座の修了(文化庁届出受理)」というものがあります。
しかし日本語教師になるための条件は時間の流れとともに変わりつつあり、「420時間日本語教師養成講座」のなかにもいくつか種類があるため、焦って受講すると「日本語教師の条件を満たせずに無駄になった‥」なんてことも。
そこで今回は、日本語教師養成講座を受講して日本語教師を目指したい!という方向けに、事前に確認しておきたい大切なポイントをまとめて解説します。
目次
日本語教師になるための条件「420時間日本語教師養成講座」2016年以前
日本語教師には正式な資格はなく、日本語教師として働くためには以下の3つの内のいずれかの条件に当てはまる必要があるといわれていました。
- 大学または大学院で日本語教育を主専攻または副専攻として修了している者
- 日本語教育能力検定試験合格者
- 日本語教師養成講座の420時間以上の修了者
上記3つのうち、3「日本語教師養成講座の420時間以上」というのが俗に言う「420時間日本語教師養成講座」のこと。
2016年以前はこの養成講座に関してガイドラインはありましたが、学歴や文化庁届出受理の有無などといった条件は特にありませんでした。
日本語教師になるための条件「420時間日本語教師養成講座」2017年改正後
告示校と新基準について
告示校とは、簡単に言うと国の基準に合格した日本語学校(=告示校)です。
平成28年7月22日に「日本語教育機関の告示基準」(以下新基準)が公示され、これにより日本語学校では留学ビザを持っている留学生を受け入れるためには、この告示基準を満たす必要が出てきました。
この告示基準を満たした学校のことを告示校と言います。
そしてこれを受けて示された「日本語教育機関の告示基準解釈指針」(以下「解釈指針」)において、日本語教員の要件は以下のように示されました。
- 大学または大学院で日本語教育を主専攻または副専攻として修了している者
- 日本語教育能力検定試験合格者
- 学士の学位を有する(四年制大学卒業)+日本語教師養成講座の420時間以上の修了者
※文化庁届出受理されているものであること
以前と変化した点としては、「日本語教師養成講座420以上修了する人は学士を有していなければならない」「受講する日本語教師養成講座は文化庁に届出受理されているものでなければならない」という2つのポイント。
文化庁に届出受理されている講座一覧は以下にて確認することができます。
420時間日本語教師養成講座の内容とは?
この「日本語教育に関する研修であって適当と認められるもの」の内容については,解釈指針に示されていますが、これは、2000年(平成12年)に文化庁に設置された「日本語教員の養成に関する調査研究協力者会議」が取りまとめたガイドライン「日本語教育のための教員養成について」の内容とほとんど同じです。
- 日本語教員養成において必要とされる教育内容はこちら
学習領域は大きく3つの領域(「社会・文化に関わる領域」「教育に関わる領域」「言語に関わる領域」)に分けられており、それらはさらに5つの区分(「社会・文化・地域」、「言語と社会」、「言語と心理」、「言語と教育」、「言語」)に分けられ、さらに3~4つの区分に細分化して学習するよう指針されています。
この中には45単位以上の教育実習が含まれます。授業において1単位は45分を下回らないことが条件となっています。
そして冒頭から何度も出てきている420という数字についてですが、これは時間数ではなく単位数です。
つまり、上記の内容の授業を420単位時間以上取得すればよいので、時間換算すると、45×420÷60で、最短でおよそ315時間程度で修了できます。
(ですがわかりにくいので、420時間と表記されることが多いです。今回もそれにならい、以下でも420時間という言葉を使っています。)
また、文化審議会国語分科会が平成31年3月4日に取りまとめた「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)改定版」の中でも、同様の「日本語教員養成において必要とされる教育内容」が示されました。
日本語教師の資格が2024年4月に「国家資格化」へ
現在のところ日本語教師になるための条件は以下の通りとなっていますが、日本語教師の資格は2024年4月から国家資格化される予定になっています。
- 大学または大学院で日本語教育を主専攻または副専攻として修了している者
- 日本語教育能力検定試験合格者
- 学士の学位を有する(四年制大学卒業)+日本語教師養成講座の420時間以上の修了者
新たな資格詳細については、以下の記事にて解説していますので合わせてご一読ください。
420時間日本語教師養成講座が受けられる機関(通信講座も!)
2024年4月より国家資格化が検討されている日本語教師の資格ですが、施行以前に資格を取得している人(現行の日本語教師)に対する移行措置が検討されています。
国家資格化になるのを待たずにすぐに日本語教師になり経験を積みたい!という方は、以下にて文化庁届出受理の420時間日本語教師養成講座の一覧をみることができます。
日本語教師養成講座の費用は平均して60万円前後の費用がかかります。
*ちなみに、文化庁国語課への届け出が受理された日本語教員養成講座を無料で受講できる裏技的方法があります!!気になる方はこちらをご覧下さい。
また、長期の通学講座が厳しい人には、通信講座による研修を受けることも可能です。
現在、通信講座で届出が受理されているのは以下の講座です。
実施機関・団体名称 | 研修の名称 | 届出受理番号 |
ヒューマンアカデミー株式会社 | 日本語教師養成総合講座(e-ラーニングコース) | R01071113034 |
大原出版株式会社大原言語教育センター | 420時間総合コース「理論編Web」 | H29040713007 |
東京中央日本語学院 | 日本語教師養成講座420時間コース(eラーニング) | H30060113025 |
アルファ国際学院 | 日本語教師養成420時間講座理論通信 | H31012513030 |
アークアカデミー | 日本語教師養成講座420時間通信コース | H31013013031 |
学校法人アジアの風 岡山外語学院 | 日本語教師養成講座420時間e-ラーニングコース | R01120633003 |
こうしてみると数は多くないですが、ヒューマンアカデミーの講座は全国展開で通信講座を行っています。
通信の費用は通学の養成講座よりも安い場合がありますが、420時間全て通信で受けられる講座は届出が受理されていない講座です。
また届出を出したと謳っていても、出しただけで受理されていないという可能性もあるので、注意して確認しましょう。
通信で学ぶときに気をつけるべきポイントなどは、こちらにもまとめてありますので参考にしてみてください!
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学士の学位がない人にはこれがおすすめ!
しかし、以上のような文化庁に届出が受理されている420時間の講座を修了しても、「学士の学位」つまり大学を卒業していないと、告示校の募集要件に合わないため、現在は応募できません。
では、学士の学位がない人は日本語教師として働けないのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。
1で日本語教師として働くために必要な条件の一つとして挙げた「日本語能力検定合格者」に関しては、学歴は問われていません。
そのため、検定に合格すれば、日本語教師として働ける可能性が出てきます。
(※ただし、今後国家資格である「公認日本語教師」として働きたい場合、学士の学位以上が必要なので注意してください)
日本語能力検定試験に独学で合格する方法に関しては別に記事をまとめておりますので、そちらをご参考下さい。
【日本語教師養成講座】まとめ
以上のことをまとめると
- 日本語教師養成講座420時間修了者とは、「学士の学位を有し,かつ,日本語教育に関する研修であって適当と認められるものを420単位時間以上受講し,これを修了した者」という、告示校の日本語教師として働くための条件の一つ。
- 「日本語教育に関する研修であって適当と認められるもの」とは文化庁に届け出が受理された日本語教師養成講座のこと。
- 「学士の学位を有」さない人には、海外で働ける可能性有り!
- 国内なら日本語教育能力検定がおすすめ!
日本語教師として働くための条件や資格に関しては日々変化しています。
また日本語教師には多種多様な働き方があり、自分の希望や状況に合わせて働き方を変えることもできます。
どんな日本語教師になりたいのか、どこで働きたいのか等を考えて理想の日本語教師になるための道を選びましょう。
「もっと詳しく養成講座を比較したい!」「とりあえずパンフレットを!」という方は日本語教師アカデミーで文化庁受理の養成講座の資料を一括で、無料で取り寄せるのがおすすめです!
すーみん
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