「日本語教師として就職をしたい!」
昨今の日本の観光業の好況っぷりや、日本のアニメや漫画文化、寿司をはじめとする日本食の浸透、日本で見かける留学生を見てそう思っている方も多いのではないでしょうか。
もしくは自分が海外に行った経験や、日本の発展に何か貢献したいという思いから日本語教師になりたいと思う方もいるでしょう。
日本語情報バンクを運営している日本語教師キャリアエージェントではこれまで2,300名を超える(2020年7月現在)日本語教師の方から相談を受け、就職をサポートしてきました。
その中で日本語教師として上手な就職の仕方、失敗してしまう就職の仕方などの様々な経験とノウハウを蓄積してきました。
日本語教育業界は非常に古い業界で、これまで就職は紹介などで行われてきた為、就職が難しい一方でしっかりとポイントを抑えておけばいい職場に巡り会うことができます。
本記事では日本語教師としての就職を考えている方向けに就職の虎の巻を作成しましたので参考にしてみてください。
また日本語教師キャリアエージェントでは未経験でも採用している学校の求人や企業研修の求人なども取り扱っています。
まずは下記の登録フォームから登録して情報を受け取ってみてください。
目次
日本語教師とは?資格は?
日本語教師とは簡単にいうと日本語を母国語としない人に日本語を教えることです。
世界には様々な理由で日本語を学ぶ人がいます。
・日本のことが好きだから学びたい
・日本の文化・アニメが好きだから学びたい
・日本で生まれたが、日本語が話せないから学びたい
そんな日本語を学びたい人たちに日本語を教えるのが日本語教師の役割です。
お分かりのように日本語教師はただただ「言語」を教えるだけの仕事ではありません。
「何かを変えたい」「成長したい」というポジティブな思いを持って、日本語学習をする人の人生の転期を支える仕事です。
その為、日本語教師の業務内容は多岐に渡ります。
日本語教師の業務内容
どのような職場でどんな形態で働くかによっても全く異なるので、今回は日本語学校で働く際の業務の一例に関して記載します。
日本語の授業に関して
・生徒の学習歴や日本語のレベル、目的に沿って情報収集
・学習目標に応じてテキストを選び、教育計画を策定する
・カリキュラムの作成、授業の準備
・パワーポイントや配布資料の作成
・授業を行う
・テストの作成、採点
授業以外に関して
・日本での生活のサポート
・生徒とのコミュニケーション・ケア
・進路指導
・生徒の管理
・教師の管理
・学校の運営
・学生募集に関する業務
日本語教師は教師といっても教えることだけをやればいいという職業ではありません。
先ほども解説したように日本語を学ぶ学習者は日本語を学ぶことを目的にしていません。
ほとんどが日本語を使って何かをしたい、日本語を学んだことによって人生を良くしたいと思っているので学習者の要望に合わせて広い意味で教育を提供することに関する全ての業務を行います。
日本語教師になるための資格に関して
日本国内で日本語教師になろうと思うと資格を取ることが基本となります。
働く職場によっても異なるため、不要の場合もあるのですが日本語教師の資格としては下記の3つがあります。
①大学または大学院で日本語教育を主専攻または副専攻として修了
②日本語教育能力検定試験合格者
③学士の学位を有し文化庁に届出が受理されている日本語教師養成講座の420時間単位時間修了
それぞれの取得の方法に関しては下記にまとまっているので参考にしてみてください。
大学の専攻で日本語教師になる
日本語教育能力検定試験合格して日本語教師になる
日本語教師養成講座の420時間単位時間修了して日本語教師になる
「日本語教師アカデミー」では日本語教師養成講座の資料請求、相談から就職までを完全無料でサポートしています。資格取得をお考えの方は登録してみてください。
国内と海外の日本語教育従事者と需要
ではここで国内と海外の日本語教育従事者と需要について見ていきましょう。
世界全体の日本語教育に関して
出展:独立行政法人 国際交流基金「2018年度海外日本語教育機関調査結果」(https://www.jpf.go.jp/j/about/press/2019/dl/2019-029-02.pdf)
国際交流基金の調査によると2018年は世界の約142ヶ国で日本語教育が行われていることがわかっています。
教育機関は18,604、教師は77,128、学習者は3,846,773と全て増加傾向にあります。
つまり日本語教育は必要とされていると言うことができるでしょう。
国内の日本語教育に関して
平成29年11月1日の文化庁文化部国語課の調査によると国内における日本語教育実施機関・施設等数は2,109で日本語教師数は39,588人、日本語学習者数は239,597人とのことです。
比較のために平成23年の数字を確認してみると日本語教育実施機関・施設等数は1,832で日本語教師数は31,064人、日本語学習者数は128,161人とのことです。
つまり日本語教師数はそれほど変わっていないにも関わらず、日本語学習者はおおよそ倍増していることがわかります。
歴史的な背景を紐解くと、2008年7月29日に日本政府によって公表された計画で学生30万人計画というものがありました。
これは2020年を目途に30万人の留学生受入れを目指すというもで、その政府の政策によって一気に留学生の受け入れが促されてきたのです。
しかし「良い日本語教師」という意味で教師の育成が追いついておらず、不足しているのが現状です。
海外の日本語教育に関して
海外の日本語教育に関しては下記の記事にまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
日本語教師の就職先・活躍の場
では日本語教師として国内外で就職をしようと思った場合、どのような職場があるのでしょうか。
日本語教育が未経験の方はなかなか想像しにくいと思いますので解説していきます。
日本語学校
日本語学校は日本国内や海外現地にある日本語教育機関です。
様々な国から来ている留学生が様々な目的のもと日本語の学習をしています。
日本語教師の主な業務内容としては先に挙げているように授業の準備からテストの作成、採点、学校の運営まで多岐に渡ります。
小学校、中学、高校、大学、専門など教育機関
小学校や中学校、高校、大学、専門学校やインターナショナルスクールなど様々な教育機関で日本語教師が必要とされています。
海外の場合は科目として日本語が開講されていたり、第二言語として日本語を学習する生徒もいます。
業務内容は日本語学校とほとんど同じです。
管理組合
管理組合は日本国内にある技能実習生を管理するための機関です。
技能実習生に関しては詳しくは下で紹介している記事を参考にしてもらえばいいですが、簡単に言うと日本で働きながら技術を母国に持ち帰るために設けられた制度です。
主に東南アジアからの方が多く、技能実習生が働く前に日本語の研修などを日本語教師が行う業務があります。
https://www.jitco.or.jp/ja/regulation/
送り出し機関
送り出し機関とは、技能実習生が日本に働きに来る場合にその諸々の手続きや、事前の日本語の学習、日本文化の理解をする海外現地の機関になります。
企業内研修
企業内研修では日本企業が雇用している外国人に対して日本文化の理解やビジネスマナーも含めた教育を行うことを指します。
業務内容としては企業のニーズを聞きながら、教材を選定したり、実際の授業を行なったり、ビジネスマナーを教えたりします。
企業で働いたことのある人が重宝される傾向があります。
オンライン教師
オンライン日本語教師は最近流行りを見せているオンラインレッスンの講師としての就職になります。
生徒は本当に様々で小さい子供から定年を迎えて新しい趣味として日本語の勉強をしている方まで幅広いです。
業務内容は教えることがメインで、新しく日本語を勉強したいと問い合わせをもらったお客様の対応や、長く継続してもらうためのコミュニケーションなども入ってくるでしょう。
プライベートレッスン
プライベートレッスンはその名の通りでオンライン教師のオフラインバージョンと捉えてもらうといいでしょう。
業務の場所としてはお客様の自宅であったり、カフェであったりします。
フリーランス
就職という形ではないですが、日本語教師の活躍の場としてはフリーランスとして生きる生き方もあります。
フリーランスとしての活躍の方法はSNSなどで自分でお客さんを獲得してきたり、youtubeで動画を挙げたり、マッチングサイトを使って生徒を募ったりすることがあります。
日本語教師の勤務形態とポジション
日本語教師として働くにはどのような勤務形態があるのかを理解しておくことが大切です。
結論をいうと日本語教育機関で日本語教師として働くには働き方・ポジションで、大きく以下の3つがあります。
・教務主任(フルタイム)
・専任講師(フルタイム)
・非常勤講師(パートタイム)
教務主任(フルタイム)
教務主任というポジションはいわば日本語教師を束ねるリーダー的なポジションです。
業務の割合としては教えることが5割、管理が5割という働き方になります。
しかし教務主任のポジションになるには知識はもちろんのこと経験が必要になります。(また国内の法務省告示校の日本語学校で教務主任として働く場合は専任の経験が3年以上ないといけないという要件があります)
ただ日本語教師としてキャリアを積んでいきたいのであれば教務主任というポジションは目指したい形態の1つでしょう。
専任講師(フルタイム)
専任講師は正社員の日本語教師です。
業務の割合としては7割が教師として教える仕事で、3割は各種業務や学生の対応などです。
専任講師は安定して給料をもらうことができるというメリットの一方で、日本語教師以外の日本語教育機関を運営する上で必要な日本語教育以外の業務も行わなければいけないという側面があります。
非常勤講師(パートタイム)
非常勤講師はパートタイムで日本語教師を行う働き方です。
パートタイムの業務としてはほとんどが授業の準備と授業になります。
なのでメリットとして教えることに集中できる、また掛け持ちができるということが挙げられる一方で、学校の経営状況によって仕事が急になくなってしまうことがあります。
専任・教務主任になるには
もし専任の先生になろうと思うと基本的には
非常勤として働く
↓
専任として働く
↓
教務主任として働く
という段階を踏まなければなりません。
日本語教育業界で働こうと思うと非常勤からのスタートが普通です。
非常勤で経験を積んで、そこから常勤、希望し要件を満たしていれば教務主任になることができます。
一般的に非常勤から専任の先生になるには1年、専任講師から教務主任になるには最低でも3年、平均5年ほどでなることができます。
日本語教師の就職の流れ
では日本語教師の就職の流れをおさえておきましょう。
・どんな日本語学校があるのかのリサーチ
・実際に働くことができる求人を探す
・応募をする
・書類選考を行う(履歴書・職務経歴書・日本語教育経歴書)
・面接をする
・模擬授業を行う
・内定をもらう
・就職
上記のような流れが一般的です。
日本語教師の就職で特徴的なのが模擬授業と日本語教育経歴書なのではないでしょうか。
選考における模擬授業とは
日本語教師の採用選考の模擬授業とは与えられた時間(大体が15分〜20分の時間)の中で、生徒役とする面接官(主に教務主任や校長、経営者)に対して事前に与えられたテキストの範囲で授業を行うことです。
模擬授業を上手くいかせるためのポイントは下記で解説します。
日本語教育経歴書とは
日本語教育経歴書は自分の日本語教育について詳しく書く書類のことです。
内容としては主に
・勤務教育機関名
・勤務期間
・職務経歴要約
・雇用形態
・業務内容
・使用教材
を記入に提出するものです。
日本語教育未経験の方は必要にはならず、職務経歴書だけで十分です。
日本語教師の求人を探せるサイト
日本語教師の求人を探すことのできるサイトは下記の記事にまとめています。
参考にしてみてください。
履歴書・面接・模擬授業のポイントを解説
もちろん日本語教師として就職をするのであればなるべく給料の良い学校、自分と雰囲気の合っている学校、家から近い学校に受かりたいと思うでしょう。
そうするためにはしっかりと履歴書を書いて、面接、模擬授業をこなす必要がありますのでそれぞれのポイントを解説していきたいと思います。
履歴書の書き方について
先生の中には良かれと思って履歴書を手書きで書く方々がいますが、綺麗な字で書くならまだしも、読みにくい文字で書くことは言語道断です。
エクセルでフォーマットをインターネットからダウンロードして履歴書作ることが良いでしょう。
なぜかというと日本語教師は少なくともパソコンでの作業が求められます。
なので手書きの履歴書を提出してしまうと「パソコンが使えない」ということを意味しており、減点に繋がってしまいます。
また履歴書のPRポイントや自由記入欄を書く際はまず「その学校がどんな学校で、どんな生徒が在籍していて、どんな教育理念で運営しているのか」を調べ、それと「自分がその学校で働きたい」「自分が学校に貢献できること」の重なり合う部分を具体的に書くことが必要です。
面接について
面接もしっかりと下調べをした上で望むことが大切です。
また考えておくべきは
・自分のこれまでの経験と特徴
・その学校でなぜ働きたくて、自分がどんな貢献ができるのか
を重点的に考えておくことが大切です。
模擬授業について
面接官は
・知識や経験
・能力
・柔軟性
・事前準備の量
などを見ています。
なのでしっかりと準備をしておくこと、堂々と授業を行うことがもっとも重要です。
下記の記事では「面接や模擬授業で聞かれやすい質問と対策」を実際の日本語教師が受けた質問や指摘されたポイントをアンケートをとってまとめたものですので、参考にしてみてください。
日本語教師の就職活動の時期
日本語教師としての就職活動の時期は学生が入学してくる時期と一致しています。
基本的に多いのは4月、10月になる1〜2ヶ月前に募集を始めて、採用を行うというパターンです。
詳しくは下記で紹介していますので参考にしてみてください。
日本語教師として求められる資質・適正
では日本語教師として求められる資質や、働くということに向いている人、向いてない人はどんなタイプがあるのでしょうか。
日本語教師に求められる資質・能力
人間的な資質
・柔軟性
・傾聴力
・適応力
・ビジネスマインド
日本語を学ぶ留学生の求めるものは常に変化しています。
最近の例でいうと、ベトナムから来る留学生はもともと、日本で働くために日本語を勉強している傾向が強かったですが、最近はベトナムの所得が上がってきているため「働く」という目的が「キャリアアップ」に変わってきています。
なので昔と同じだと思って「働きたい人」向けの授業を行なっていても全く意味がありません。
日本語教師には柔軟性や傾聴力、適応力また相手が何を求めていて、何を提供すれば良いのかというビジネスマインドが必要になります。
もちろんあれば良いという話で、全てを持っていなければ日本語教師になれないという訳では全くありません。
技術的なスキル
・PC(オフィス系)スキル
・オンラインツールスキル
・英語/第二言語
日本語教師が持っておくべきスキルとしては上記が挙げられます。
最近ではコロナウイルスの一件で、オフライン授業もさることながらオンライン授業ができることの価値が上がっています。
一般的必要なパソコンスキルやネットリテラシーを持っていると良いでしょう。
日本語教師の向き不向きに関して
日本語教師に向いている人、やりがい
日本語教師に向いていない人
日本語教師が就職の際に気をつけるべきこと
では最後に日本語教師キャリアエージェントが約2,200名以上の日本語教師の就職・転職支援をお手伝いしてきて気が付いた「こんな職場はやめた方がいい」「注意してみるべき、聞くべきポイント」などをまとめました。
待遇、職場の雰囲気を確認
もちろんのこと日本語教育業界にもブラックな職場はあります。
日本語教育業界のブラックとは「残業代が出ない」「勤務時間中に授業準備をさせてもらえない」など待遇面よることが多く、改善する姿勢が見えないことをさします。
また雰囲気も大切で、教員同士のコミュニケーションがほとんどない職場や空気感の悪いこともあります。
なので入社前(内定の承諾前)に
・学校の見学をさせてもらう
・すでに働いている教員と話をさせてもらう機会を作る
・学習している留学生と話す機会を作ってもらう
・以前働かれていた先生からアドバイスをもらう
ことをすることでブラックな職場に入ってしまうことを防げるでしょう。
雇用契約を確認
雇用契約書は、労働契約書とも呼ばれることがあり、内容は、勤務時間、給与、休日など細かい労働条件について書かれています。
雇用契約で不当な内容で結んでしまえば、そのあと自分の首を締めることになってしまいます。
ただしっかりと内容を確認し、自分が納得できる条件下契約ができれば、逆に自分の身を守ってくれることにも繋がります。
教育理念・教育方針を確認
日本語教育業界は非常に離職率の高い業界です。
その原因の1つとして「自分の教育理念・方針」と「学校の教育理念・方針」が合わないことによります。
日本語学校で働くことは恋愛と同じでお互いの「価値観」が大切です。
なので面接や面談の機会に校長先生や経営者に「教育理念や方針」を根掘り葉掘り聞いて、自分がそれに共感できるようであればいいですし、できなければ後々辛くなってしまうので避けた方がいいでしょう。
日本語教師の就職の仕方を徹底解説 まとめ
・日本語教師として就職するには資格が原則必要
・日本語教師の需要は増えている
・業務内容は授業準備から生徒とのコミュニケーションまで様々
・働き方、ポジションは主任、専任、非常勤が主流
・選考で特徴的なのは模擬授業
・求められるスキルは大きく適応力とパソコンスキル
・離職率が高いので、働く前に職場についてしっかり確認
最後に日本語情報バンクを運営する日本語教師キャリアエージェントでは
留学・国際就職によって
人生を変えようと志す人の
可能性を引き出す組織であり続ける
というミッションの下、日本語教師の国内就職、国際就職のサポートを行なっています。
もしお困りのことや相談したいことなどがあればお気軽にお問い合わせいただければと思います。
日本語教師キャリア マガジン編集部
運営情報最新記事 by 日本語教師キャリア マガジン編集部 (全て見る)
- 2024年度 日本語教師のためのオンライン採用合同説明会 - 2024/6/20
- 【教師研修】日本語教育の参照枠 × 鳥・虫・魚の目 – 新しいものの見方をインプットしよう!- / 7/20~8/3(土) 10:00~12:00 - 2024/6/10
- 【教師研修】「フリーランス日本語教師として働くための初めの一歩」研修 2024年6月18日~7月11日 - 2024/5/20