日本語教育におけるICTについてわかりやすく解説!これで完璧!

日本語教育とICT教育

日本語教育能力検定試験の勉強をしていると「日本語教育とICT」が出てきます。

ICTスキルは必須だって聞いたりする….
私はアナログ人間だから….デジタルはどうも苦手だな….

このように感じていらっしゃる方も多いと思います。

本記事は「日本語教育とICT」についてどこよりもわかりやすく解説。

日本語教育能力検定試験を受験予定の方、日本語教師の先生はぜひ最後までお読みください。


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ICTとITを理解しよう

ICTは、Information and Communication Technology の略称で「情報通信技術」の意味です。
ICT教育は、パソコンやインターネットなどの情報通信技術を通じてコミュニケーションをとりながら教育することを指します。

ITは、Information Technologyから頭文字をとったもので「情報技術」の意味です。
ITは情報を入手、保存、伝達する技術を指し、インターネット、セキュリティ、情報処理などがその例です。ITを使ったデジタルツールにはタブレット、スマホ、電子マネーなどが挙げられます。

コロナ禍以降、これまでの対面授業がオンライン授業となり、日本語教育もここ数年間で大きく変わりました。

以下は、国際交流基金による「2021年度海外日本語教育機関調査」の調査結果です。国際交流基金は3年ごとに最新の調査結果を公表しており、直近2001年の調査で全世界の地域別オンライン学習実施率が明らかになりました。これによると、全機関のうち63.1%がオンライン学習を実施しており、高い実施率から順に、中米、中東、南米、東南アジアとなっています。

オンライン授業 国際交流基金
「国際交流基金 2021年度海外日本語教育機関調査」より引用

また、文化庁文化審議会国語分科会は「日本語教育人材に求められる資質・能力」として、日本語学習支援者が身につけておくべき資質や能力を段階別に提示しています。この中で、ICTについて言及している項目は以下の通りです。

【養成段階の日本語教師】
2 日本語の教授に関する知識
5)学習者の学習過程を理解し、学習者に応じた内容・教材(ICTを含む)・方法を選択する上で必要となる知識を持っている

【留学生に対する初任の日本語教師】
1 留学生に対する教育実践の前提となる知識
3)ICT等の多様なリソースを活用した指導を行う上で、必要な知識を持っている
1 教育実践のための技能
4)ICT等の多様なリソースを活用した効果的な教育実践ができる

【就労者に対する初任の日本語教師】
1 就労者に対する教育実践のための技能
3)学習者の自律学習を促進するために、ICT等の多様なリソースを活用した効果的な教育実践ができる

【難民等に対する初任の日本語教師】
1難民等に対する教育実践のための技能
4)学習者の自律的な日本語学習を支援するために、ICT等の多様なリソースを把握し、それらを活用した効果的な教育実践ができる

日本はもとより世界中で日本語教育におけるICTのニーズが高まっています。
本記事では、日本語教育におけるICT教育に関する用語を理解しながら、それぞれのICT教育にはどんな特徴があるのかを見ていきましょう。

ICT教育に関連する用語を確認しよう

検定試験の出題範囲において、「日本語教育とICT」は「言語と教育」に該当します。
日本語教師の資質・能力、著作権、コースデザイン、授業計画、評価法、などと関連があります。

区分主要項目
社会・文化・地域世界と日本の社会と文化/日本の在留外国人施策/多文化共生(地域社会における共生)/日本語教育史/言語政策/日本語の試験/世界と日本の日本語教育事情
言語と社会社会言語学/言語政策と「ことば」/コミュニケーションストラテジー/待遇・敬意表現/言語・非言語行動/多文化・多言語主義
言語と心理談話理解/言語学習/習得過程(第一言語・第二言語)/学習ストラテジー/異文化受容・適応/日本語の学習・教育の情意的側面
言語と教育日本語教師の資質・能力/日本語教育プログラムの理解と実践/教室・言語環境の設定/コースデザイン/教授法/教材分析・作成・開発/評価法/授業計画/教育実習/中間言語分析/授業分析・自己点検能力/目的・対象別日本語教育法/異文化間教育/異文化コミュニケーション/コミュニケーション教育/日本語教育とICT/著作権
言語一般言語学/対照言語学/日本語教育のための日本語分析/日本語教育のための音韻・音声体系/日本語教育のための文字と表記/日本語教育のための形態・語彙体系/日本語教育のための文法体系/日本語教育のための意味体系/日本語教育のための語用論的規範/受容・理解能力/言語運用能力/社会文化能力/対人関係能力/異文化調整能力

日本語教育業界で用いられる、ICT教育に関連する用語は以下のようなものがあります。

同期型

「同期型」はリアルタイムで即時応答が求められる手法です。
同期型は同時双方向のオンラインで、ZoomやGoogleMeet、音声通話などが該当します。

同期型の授業は対面授業と比べてそこまで遜色ありません。
安定したインターネット環境下であれば、PCやスマホから授業に参加することができます。

教師が同期型で指導を行う場合、あらかじめ使用するツールの操作に慣れておく必要があります。

非同期型

「非同期型」はリアルタイムではないので即時応答が必要ない手法です。
非同期型は一方向で、予習復習用の動画教材、アプリでの学習などが該当します。

非同期型は受講者のペースで学習を進めるられるのが長所と言えます。
反転授業は非同期型の自宅動画学習と、教室内での議論などを合わせた学習形態です。

教師が非同期型で指導を行う場合、受講者の提出物の採点などは負担がかかります。

ハイブリッド型

「ハイブリッド型」は対面とオンラインを組み合わせた手法です。

ハイブリッド型はさらに細分化されており、対面とオンラインを同時開催する「ハイフレックス型」、教育効果を考えて対面とオンラインを組み合わせる「ブレンド型」、同じ回に異なる内容の授業を対面とオンラインで行うことで分散での受講が可能になる「分散型」があります。

ハイブリッド型の指導は、コースデザインや授業準備など教師のICTスキルが大いに問われます。

まとめ

本記事は「日本語教育とICT」について解説してきました。

内容をまとめると….

  • 「ICT」:Information and Communication Technology、情報通信技術
  • 「IT」:Information Technology、情報技術
  • 「同期型」:リアルタイムで即時応答が求められる手法
  • 「非同期型」:リアルタイムではないので即時応答が必要ない手法
  • 「ハイブリッド型」:対面とオンラインを組み合わせた手法

「Jamboard」はICT・デジタル教材としてよく使われているツールです。
こちらの記事では「オンラインでも使える教材」を紹介しているので参考にしてみてください。

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池田早織

運営情報
フリーランスの日本語教師兼ライター。日本語教育能力検定試験合格、日本語教師養成講座420時間修了。公的教育機関での常勤講師、技能実習生向けの日本語会話動画作成など、社会人や留学生、外国人児童・生徒への指導を含め上級者から初級者まで幅広く経験。アジア圏、欧米圏問わずこれまで約5,000人以上の指導に携わる。
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