日本語教師は国内外問わず仕事が出来るので、海外で働きたいと思っている人が多いです。
また、日本語教師に転職して、海外に移住したいという人も増えてきています。
マレーシアは移住したい国10年連続No.1といわれるほど、日本人が生活したい場所と言われています。
日本語教師として移住することも可能なので、海外で働きたいという日本語教師にも人気が高いです。
では、マレーシアの日本語教育事情はどうなっているのか、現地でのネイティブ日本語教師の役割、採用条件や待遇など、マレーシアで日本語教師になるために知っておきたい情報を紹介します。

マレーシアでの日本語教育事情
国際交流基金による2015年度「海外日本語教育機関調査」結果報告書によるとマレーシアは、機関数が196(2012年)から176(2015年)で20機関減っています。(増加率は−10.2%)
マレーシアで働く日本語教師の数はというと、509人(2012)から430人(2015)で−79人と学習者と同じく減っています。(増加率は−15.5%)
マレーシアでの日本語学習者
学習者数は33,077人(2012年)から33,224人(2015年)+147と少ないながら増加しています。
しかし、学習者数の全体順位は2015年と比べると9位から10位と下がっています。
2018年度の「海外日本語教育機関調査」結果(速報)でも2015年と同じく学習者数の全体順位は10位で、学習者数は39,247と2015年から6,023人増えたことが報告されました。
学習者数の内訳(2015年)は中等教育段階が17,450人と一番多く、次いで高等教育段階が12,442人、民間の学校などを含むその他の教育機関が3,332人となっています。
マレーシアでの日本語教育の歴史は古く、戦時中の日本統治時代から行われています。
戦後、1984年に全寮制中等学校(レジデンシャルスクール)でも日本語が外国語選択科目として教えられるようになったこと、一般全日制中等学校(デイスクール)にも日本語教育(を含む第2外国語科目)が拡大されたことで、中等教育段階の学習者が増えていきました。
*マレーシアにはレジデンシャルスクールと呼ばれる全寮制のエリート養成学校が47校あります。全国から集められた逸材は、日本の中学校に当たるグレード1から「国際派の人材」を目指して第2外国語を学びます。
日本留学のための予備教育
日本留学を目標としたプログラムなどが用意されていますが、予備校で学ぶ学習者以外はほとんど初級レベルに留まっています。
この日本留学のための予備教育は以下の4つの施設で行われているので紹介します。
1 Rancangan Persediaan Khas ke Jepun, Pusat Asasi Sains, Universiti Malaya(通称Ambang Asuhan Jepun、AAJ) マラヤ大学予備教育部日本留学特別コース
https://asasi.um.edu.my/about-us
2 Kumpulan Teknikal Jepun(KTJ), INTEC Education College INTEC教育カレッジ東方政策プログラム高等専門学校予備教育コース
https://intec.edu.my/home#popup1
3 Malaysia Japan Higher Education Programme(MJHEP), Yayasan Pendidikan MARA マラ教育財団マレーシア日本高等教育プログラム
4 Institut Bahasa Teikyo(IBT) 帝京マレーシア日本語学院
これらのコースやプログラムを受け、日本に留学(1年次)にしている学生数は、合計5600人を超えています。
日本留学を支える機関であり、日本へ留学生の人数から見ても、質の高い日本語教育が行われていることがわかりますね。
マレーシアでの日本語人気
言語学習は、その国同士の関係に影響を受けることも多いです。
マレーシアでは、外国語学習として日本語を選択希望する生徒は少なくないです。
しかし、学校側ではそれぞれの外国語(先ほどのレジデンシャルスクールでは、アラビア語・ドイツ語・フランス語・中国語・日本語が第二言語として選択可能です)の履修者を均等にしようとしているところがあるようです。
また、学生数は増加していますが教師は減少しているため、大学などで教師不足が起きています。
学校教育外では、経済面・文化面での存在感から、中国語や韓国語の人気が高くなってきているようです。
ですが、日本のポップカルチャーも負けていません。
FUN! JAPANさんが行った読者へのオンラインアンケート(2019年6月28日~7月16日 サンプル数:1,121)では、およそ60%の人が、今も日本のアニメを見ている・見ていたと答えていますし、実際に毎週末、3-4番組ほど放送されています。
全て吹き替え版で、ドラゴンボール、ポケットモンスター、ドラえもんが今でも見られる環境のようです。
これは今後も学習者の学習動機につながっていきそうですね。
参照:https://fj-com.co.jp/articles/blog/funjapanlab/1736/


マレーシアで大人気のドラえもん
写真 :http://blog-tourismmalaysia.jp/archives/51920142.html




求人から見るマレーシアの日本語教師
では、実際にマレーシアの日本語教育機関で募集されている日本語教師にはどのような条件が求められているのでしょうか。
ネイティブ日本語教師の役割と応募条件
先ほどの日本留学の予備教育機関の4で紹介した帝京マレーシア日本語学院の求人をみてみると、
(1)4年制大学卒業以上
(2)日本語教師資格―必要な資格(次のいずれかに該当する方)
・日本語教育能力検定合格
・日本語教師養成講座420時間修了
・大学で日本語教育を専攻または副専攻
(3)経験―日本語教師としての経験が3年以上ある方が望ましい(個人レッスンは含まない)
(4)年齢―満27歳~63歳の方
(注)当地教育省の規定により原則として65歳までしか教育に携われないため
と書かれていました。
日本の告示校の日本語教師ガイドラインで示されているものと変わりないですが、それに加え、この学校では教育経験が求められるようですね。
この予備教育を除いた高等教育機関全体の教師のうち、マレーシア人教師の割合は6割近くになっており、マレーシア人教師だけの機関も4~5割ほどあるそうです。
このマレーシア人の日本語教師の数が増加してきていることと、現在のネイティブ日本語教師が減少していることとは、無関係ではなさそうですね。
他の民間の日本語学校でも1、2、4は必須というところが多かったです。
ですが、授業内容に関しては、ネイティブ日本語教師だから特別に任されている授業があると言うような感じではなく、他のマレーシア人日本語教師と差別化して募集しているものは少ないようです。
マレーシアでの日本語教師の待遇
マレーシアでの日本語教師の求人を見ていると、基本給として提示されているのは約12万〜13万(月給RM5000〜5200)でした。
流通通貨はマレーシアの「リンギット」が使われています。


先ほどの帝京マレーシア日本語学院の求人では約月給13万円(RM5200)でした。
給与以外の待遇は、渡航費やビザ費用を学校が負担してくれたり、賞与支給があったりするようです。
物価は安く、現地料理は一食100円〜150円で食べられるところも多いです。
お酒などの値段はあまり変わりませんが、交通費や食事、マッサージなどは日本の約1/3程度です。ただ、交通費に関しては、タクシーやバスなどは治安が悪いということで、車移動の人がほとんどだそうです。
また、家賃は治安のいいところで考えると、一人ぐらいで約6万から10万程度かかるので、あまり安いとは言えません。
ルームシェアなどでは一人部屋である程度の家具や設備が整っている場合はRM600-1800(約14797-44391円)にプラスして光熱費RM30-100(約739-2466円)ですむところもあるようです。
生活費はおよそ15万円程度あれば、広い部屋で特に不自由なく普通に暮らせるようなので、シェアハウスなどで生活すれば、豊かな生活ではないかもしれないですが、暮らしていくことは可能です。


マレーシアで日本語教師の求人を探す
実際に日本語教師の求人を探す場合は求人サイトに様々な募集が載っていますので、調べてみましょう。
海外やアジア諸国に特化した求人サイトは色々ありますが、時にはもう締め切りを過ぎているものや、もうすでに採用者が決まり受付を終了しているものが載っていることもありますので、注意してください。
せっかく見つけた求人も応募できなければ意味がありません。
求人サイトから学校HPを探して直接問い合わせるということもできますが、一つ一つ求人サイトを確認して募集を調べるのはかなり面倒くさいし、骨が折れる作業です。
そこでオススメなのが、日本語教師キャリアに登録することです。
現在募集している求人で、登録者の皆様が興味のある求人を探すことができるよう、スタッフがサポートいたします。
日本語教師キャリアでは海外の求人もご紹介していますので、ぜひ登録してみてください。
まとめ
マレーシアで日本語教師になるために必要な情報をまとめると
- 機関数や教師数は減少傾向、学生数は微増、ネイティブ日本語教師の需要も高い
- 親日的感情が強く、日本人が働きやすい環境
- 給与は高いわけではないが、現地で生活できる(シェアハウス等で生活した場合)
マレーシアは機関数や教師数は減少傾向にありますが、学生数は微増しています。
ネイティブ日本語教師の需要も高いです。
まだ、治安が悪い部分もあるようですが、親日感情の強い国で、穏やかなマレーシア人の人間性が、日本人にとっても働きやすく住みやすい環境を生み出しているようです。



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