【言語一般】膠着語・孤立語・屈折語・抱合語の特徴まとめ【日本語教育能力検定試験対策】

膠着語・孤立語・屈折語・抱合語の特徴まとめ

日本語教育能力検定試験では言語一般で出題される言語学、難しい用語が多く覚えづらいですよね。

この記事では、今年日本語教育能力検定試験を受けようと思っている方や、日本語教師養成講座を受講中の方に向けて、形態的類型論から見た言語の分類、「膠着語、孤立語、屈折語、抱合語」の特徴を解説していきます。

言語の分類のしかた「形態的類型論」とは

そもそも、言語を膠着語、孤立語、屈折語、抱合語、に分類する「形態的類型論」とは何でしょうか。

まず、世界の言語を相違点や類似点によって分類しようとするものを言語類型論(タイポロジー)と呼びます。

その中でも、言語の文を作る仕組み(文法形式や動詞の形など)に注目して分けるものを形態的類型論と言います。

形態的類型論で、世界の言語を分類すると以下の4つになります。
・膠着語
・孤立語
・屈折語
・抱合語

今からそれぞれのタイプについて、その特徴と代表的な言語の例を紹介します。

【言語のタイプ①】膠着語

膠着語は実質的な意味を持つ語(自立語)に文法上の意味を表す助詞や助動詞(機能語)がつく、という構造で文を作るタイプの言語です。

代表的な言語は、日本語、韓国語、モンゴル語、トルコ語、フィンランド語などです。

「膠」という難しい漢字を使いますが、これは「ニカワ」という昔の接着剤のことで、言葉が次々とくっつくという意味です。

日本語の例を見てみましょう。

・私が 彼を 愛する。

この文では、私+助詞「が」⇒主語、彼+助詞「」⇒目的語となり、「私」や「彼」などの意味を持つ語に、語単体では意味を持たない助詞がくっついて文を作っていることがわかります。

そのため、比較的自由に語順を変えることができるのも膠着語の特徴です。

上の文は、「彼を 私が 愛する」、「私が 愛する、彼を」と言っても、意味が通じますよね。

【言語のタイプ②】孤立語

孤立語は、文法的な働きをする語をあまり持たず、主語や目的語を語順で区別するタイプの言語です。

代表的な言語は、中国語、ベトナム語、タイ語などです。

中国語の例を見てみましょう。

・我愛他

我=私、愛=愛する、他=彼で、「私が彼を愛する」という意味の文です。

膠着語と違い、「が」や「を」のような助詞にあたる語がありません。

そのため、孤立語では語順がとても大切な役割を担っています。

例えば上の文を「他愛我」と語の順番を変えると、「彼が私を愛する」となり文の意味が変わってしまうのです。

【言語のタイプ③】屈折語

屈折語は、名詞や動詞の語そのものの形が変化するタイプの言語です。

代表的な言語は、ラテン語、ギリシャ語、ロシア語、チェコ語などです。

ラテン語から派生してできたイタリア語やフランス語などのヨーロッパの諸言語、また英語も屈折語に分類されています。

イタリア語の例を見てみましょう。

・Io gli amo(私が彼を愛する)
・Tu gli ami(あなたが彼を愛する)
・Lei gli ama(彼女が彼を愛する)
・Noi gli amiamo(私たちが彼を愛する)
・Voi gli amate(あなたたちが彼を愛する)
・Loro gli amano(彼らが彼を愛する)

「愛する」という意味の動詞amareが、io(私が)のときはamo、tu(あなたが)のときはami、lei(彼女が)のときはama…と、主語に応じて語形が変化していることがわかります。

また、名詞の形も変化します。
・Io gli amo(私が彼を愛する)
・Lui mi ama(彼が私を愛する)

「私」を意味する語は、一文目では主語としてio(私が)という形ですが、二文目ではmi(私を)という目的語の形になっています。

「彼」を意味する語も、主語のときはlui(彼が)ですが、目的語になるとgli(彼を)になります。

イタリア語の場合は、このほかに時制や男性名詞か女性名詞か、などによっても語形が変化します。

なお、英語は一応屈折語に入りますが、I love you(私があなたを愛する)という文を見ると、語形変化がなく孤立語のように見えます。

英語は主語によって動詞が変化するのが3人称単数(いわゆる三単現のs)のみであることなどから、孤立語的な要素も多いと言われています。

【言語のタイプ➃】抱合語

抱合語は、名詞や動詞などの文の要素が密接に結合して、の文全体がまるで一語ようになるタイプの言語です。

代表的な言語は、アイヌ語、エスキモー語などです。

アイヌ語の例を見てみましょう。

・ku=wakka-ku(私は水を飲む)

wakka-kuはwakka(水)とku(飲む)という2つの語が合わさって、「水を飲む」という単一の動詞を作っているそうで、それにさらに「私」という意味のkuがつき、ku=wakka-kuとなるということです。

このとき、「私」や「水」の部分を独立して使うことはできず、まとまった一つの動詞として扱われるようです。

言語のタイプを考えるときの注意点

以上が、形態的類型論から見た言語の4分類でした。

しかし、この4分類の考え方は現代では古典的なものと考えられています。

先ほど英語の例で見たように、複数のタイプの特徴を持つ言語は少なくありません。

日本語も膠着語に分類されていますが、動詞や形容詞は活用するので屈折語の特徴も持っていると言えます。

また、会話では「お母さん、お茶 とって」のように、助詞が省略されることも多く、これだけ見ると独立語のようです。

ですから、世界の言語をこの分類法だけで完全に4つに分けることは難しいと言えます。

この分類はあくまでも言語の特徴の一つとして理解しておくのがいいでしょう。

日本語教育能力検定試験対策としては、それぞれのタイプの特徴と代表的な言語を覚えておくといいと思います。

また、日本語教師としては学習者の母語に興味を持ち、特徴を知っておくことはとても大切ですから、これから日本語を教える予定のある方は学習者の母語のタイプを調べてみると役に立つかもしれません。

【膠着語・孤立語・屈折語・抱合語の特徴】まとめ

  • 世界の言語を形態的類型論で分類すると4つのタイプに分けられる
  • 膠着語:日本語のように自立語と機能語がくっついて文を作る言語
  • 孤立語:中国語のように機能語がなく、語順によって文の意味が変わる言語
  • 屈折語:ラテン語のように名詞や動詞の語そのものの形が変化する言語
  • 抱合語:アイヌ語のように、文の要素が結合して、文全体が一語のようになる言語
  • この分類法だけで世界の言語を分けることは難しく、複数のタイプの特徴をもつ言語も少なくない

 

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りーざ先生

関東在住の現役日本語教師。日本語教育能力検定試験合格、日本語教師養成講座修了。現在は子育てしながら日本語学校で非常勤を勤める。研修・オンライン授業・ライター活動など、日本語教師として様々なことに挑戦中。
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