日本語教師が解説◎「ビジネス日本語」とは?ビジネス日本語能力テスト(BJT)って?

外国人を雇用する経営者の方ビジネス日本語について知りたい日本語教師の方

こんなお悩みはありませんか?

「ビジネス日本語ってなに?どんな日本語?」

「外国人を雇用したいけど、ビジネス日本語力ってどうやって測るの?」

「ビジネス日本語、外国人にとって何が難しい?」

このようなお悩みにお答えすべく、現役日本語教師が以下の内容を解説していきます!

  • 「ビジネス日本語」とは?どんな日本語?
  • 「ビジネス日本語」の何が難しい?
  • 「ビジネス日本語力」を測るテストはある?
  • 「BJTビジネス日本語能力テスト」について詳しく解説

「ビジネス日本語」について詳しく知ることができ、外国人雇用者ビジネス日本語を教える日本語教師の方に、非常に役に立つ記事となっています◎

「ビジネス日本語」とは?

「ビジネス日本語」とは、一言でいうと「ビジネス場面で必要とされるコミュニケーションのための日本語」です。

このような人たちが「ビジネス日本語」を必要としています。

  • 日本で働く人(「就労ビザ」で働く人、技能実習生など)
  • 日本でアルバイトをする留学生
  • 海外の日系企業で働く人
  • 海外で日本と取引を行う会社で働く人
  • 日本へ出張や駐在に訪れる外国人

「ビジネス場面で必要とされる日本語」といっても、その内容は業界や職種によって非常に多岐にわたります。

一例として、このような場面でコミュニケーションを取るために必要となるのが「ビジネス日本語」です。

  • 社内、社外へのメールやり取り
  • 報告書・見積書などの書類作成
  • 業務の内容や進捗について同僚と共有する
  • 同僚や上司をご飯に誘う
  • 打ち合わせの内容を聞く
  • 会議で解決策を提案する
  • 商品をお客様に紹介する

外国人にとって「ビジネス日本語」はどこが難しい?

外国人が「ビジネス日本語」の難しいと感じるポイントは、「正しい敬語の使い方」です。

学生や社会人になりたての日本人でさえも、「正しい敬語が使えない、難しい」という声をよく聞きます。

「言う=おっしゃる(尊敬語)」「行く=伺う」など使う動詞そのものが変わったり、「大変恐縮ですが」「差し支えなければ」など、ビジネス場面ならではの”言い回し”も多くあります。

もう一つのポイントとして、日本語ならではのコミュニケーションの取り方に戸惑う外国人も多くいます。

日本語では言葉の意味をそのまま受け取るのではなく、相手の言葉の裏に隠された「意図」や「気持ち」を察しなければならないことがあります。

たとえば、上司と部下の間でこんな会話があったとします。

( )内は、心の中の声を表しています。

ミスコミュニケーションの例

上司:「あの仕事、もう終わった?」(まだできてないのかな、早くしてくれないかな)

部下:「今、ここまで終わっています!」(進捗確認されてるんだな・・・)

上司:(いや、そうじゃなくて、早く終わらせてほしいんだよ・・・)

上司は「もう終わったの?」と部下に尋ねることで、仕事を早く終わらせるよう遠回しに催促しているのです。

その一方で、その言葉をそのまま受け取った部下は「単なる進捗確認だ」と思い、上司の発言の裏に隠された意図が理解できませんでした

コミュニケーションが上手くいっていたら・・・

上司:「あの仕事、もう終わった?」(まだできてないのかな、早くしてくれないかな)

部下:「今、ここまで終わっています。申し訳ございません。すぐに終わらせます!」

(進捗確認されてるな・・・ん?これは催促されているのかも!やばい!)

上司:「うん、頼むよ。」

このように、日本企業では上司の表情や状況からその言葉の本当の意図を汲み取ったりその場の空気を読む能力が必要とされる場面が多いです。

海外だと「あの仕事、まだ終わってないの?早く終わらせて欲しいんだけど」とダイレクトに言葉にして伝える文化もあります。

このような文化の違いに苦労する外国人が多くいるのです。

ビジネス日本語能力を測るテストはある?

外国人の日本語能力を測るテストとして、代表的なのは「日本語能力試験(JLPT)」です。

ですが、これは一般的な日本語能力を測るものであり、ビジネス日本語力が測れるものではありません。

ビジネス日本語能力を測れるもので代表的なのは、「BJTビジネス日本語能力テスト」です。

日本のビジネス社会で働く人、または日常的な日本語をマスターした人がステップアップとして「ビジネス・コミュニケーション能力」を測るためのテストです。

「外国人のビジネス日本語レベルを確認したい」という外国人雇用者の方は、ぜひこの「BJTビジネス日本語能力テスト」について詳しく知っていただきたいと思います◎

【BJTビジネス日本語能力テスト】試験概要

「BJTビジネス日本語能力テスト」は、ビジネスの場における日本語のコミュニケーション能力を測定・評価する試験です。

日本漢字能力検定協会が主催しており、日本語を母語としないビジネス関係に身をおく人学生を主な対象者としています。

テストセンターでコンピュータを使って解答する方式で、日本国内のみならず海外でも受験可能です◎

【海外の受験可能国】

中国(含 香港)、台湾、韓国、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、ミャンマー、インド、シンガポール、アメリカ、メキシコ、ブラジル、フランス、イギリス、ドイツ、イタリア

【BJTビジネス日本語能力テスト】レベル・試験構成

レベル

このテストには、合格・不合格はありません。

0~800点のスコアから、J5~J1+の6段階で評価されます。

J1+

(600~800点)

どのようなビジネス場面でも日本語による十分なコミュニケーション能カがある。
  • 日本語に関する正確な知識と運用能力がある。
  • どのようなビジネス会話でも正確に理解できる。
  • 会議、商談、電話の応対などで相手の話すことが正確に理解できる。
  • 対人関係に応じた言語表現の使い分けが適切にできる。
  • どのような社内文書やビジネス文書でも正確に理解できる。
  • 日本のビジネス慣習を十分理解している。
J1

(530~599点)

幅広いビジネス場面で日本語による適切なコミュニケーション能カがある。
  • 日本語の知識・運用能力に問題が一部あるが、意思疎通に支障はない。
  • 幅広いビジネス会話が正確に理解できる。
  • 会議、商談、電話での応対などで相手の話すことがおおむね理解できる。
  • 対人関係に応じた言語表現の使い分けがある程度できる。
  • 日常的な社内文書やビジネス文書が正確に理解できる。
  • 日本のビジネス慣習をおおむね理解している。
J2

(530~599点)

限られたビジネス場面で日本語による適切なコミュニケーション能力がある。
  • 日本語の知識・運用能力に問題が一部あり、意思疎通を妨げることがある。
  • 日常のビジネス会話がおおむね理解できる。
  • 会議、商談、電話での応対などで相手の話すことがある程度理解できる。
  • 対人関係に応じた言語表現の使い分けが少しできる。
  • 日常的な社内文書やビジネス文書がおおむね理解できる。
  • 日本のビジネス慣習に対する理解がある程度ある。
J3

(320~419点)

限られたビジネス場面で日本語によるある程度のコミュニケーション能力がある。
  • 日本語の知識・運用能力に問題があり、意思疎通を妨げることが多い。
  • 日常のビジネス会話の簡単なものがおおむね理解できる。
  • 会議、商談、電話での応対などで相手の話すことが少し理解できる。
  • 対人関係に応じた言語表現の使い分けが断片的にできる。
  • 日常的な社内文書やビジネス文書の基本的なものがある程度理解できる。
  • 日本のビジネス慣習に対する理解が少しある。
J4

(200~319点)

限られたビジネス場面で日本語による最低限のコミュニケーション能カがある。
  • 日本語の知識・運用能力に問題が多く、意思疎通できることが少ない。
  • ゆっくり話された簡単なビジネス会話がおおむね理解できる。
  • 対人関係に応じた言語表現の使い分けはできない。
  • 日常的な社内文書やビジネス文書の基本的なものが断片的に理解できる。
  • 日本のビジネス慣習に対する理解が断片的にある。
J5

(0~199点)

日本語によるビジネスコミュニケーション能力はほとんどない。
  • 断片的な日本語の知識しかなく、日本語の運用能力はきわめて不十分である。
  • ゆっくり話された簡単な会話が部分的にしか理解できない。
  • 日常的な社内文書やビジネス文書は理解できない。
  • 日本のビジネス慣習に対する理解がない。

公式HPより参照。

試験構成

問題数は合計80問、所要時時間は約2時間となっています。

「聴解テスト」「聴読解テスト」「読解テスト」の3パートに分かれています。

聴解テスト(約45分)
  • 場面把握問題 5問
  • 総合聴解問題 10問
  • 聴解テスト 発言聴解問題 10問
聴読解テスト(約30分)
  • 状況把握問題 5問
  • 総合聴読解問題 10問
  • 聴読解テスト 資料聴読解問題 10問
読解テスト(約30分)
  • 語彙・文法問題 10問
  • 総合読解問題 10問
  • 読解テスト 表現読解問題 10問

【BJTビジネス日本語能力テスト】特徴・メリット

日本企業の就職活動に有利

BJTビジネス日本語能力テストの特徴は、すでにお話したとおりですが「単なる日本語能力ではなく、”ビジネス・コミュニケーションの能力”を測るテストである」ことです。

そのため、ビジネス日本語能力テストのスコアを持っていると、日本企業の就職活動に有利になります。

受験理由としても、「就職・転職の際、客観的な日本語能力の証明とするため」という人が半数以上と、もっとも多くなっています。

それに次いで「今後の日本語学習者に役立てるため・自己啓発・レベルチェック」という理由が全体の3割ほどを占めています。

法務省入国管理局から証明基準として認められている

BJTビジネス日本語能力テストは、法務省入国管理局から以下のように証明基準として認められています。

  • 「在留資格認定証明書交付申請」に日本語能力の証明としてBJTスコアを明記できる(300点以上でJLPTのN5以上)
  • 「留学生の就職支援に係る『特定活動』の要件(本邦大学卒業者)」に認定されている(480点以上でJLPTのN1と同等)
  • 「高度人材ポイント制」において、BJTスコア480点以上で15ポイント(JLPTのN1と同等)、400点以上で10ポイント(JLPTのN2と同等)が付与される

【BJTビジネス日本語能力テスト】受験者数・平均点は?

公式HPの最新データによると、2019年度の受験者数は総計4,758名となっています。

受験者数およびスコア分布は、このようになっています。

受験者数 J5 J4 J3 J2 J1 J1+ 判定できず
国内 3,146 2 145 835 1,566 403 182 13
海外 1,612 86 222 482 584 165 67 6
総計 4,758 88 367 1,317 2,150 568 249 19

平均点、最高点、最低点のレベル分布は、こちらの表をご覧ください。

平均点 最高点 最低点 受験者数
国内 458.2 740 195 3,133
海外 414.2 738 138 1,606
総計 443.3 740 138 4,739

2019年度BJTビジネス日本語能力テスト「結果の概要」より

全体として、「限られたビジネス場面で日本語による適切なコミュニケーション能力がある」とされるJ2レベル(420~529点)がもっとも多い数を占めていますね。

次いで、J3レベル(320~419点点)J1レベル(530~599点)の順になっています。

【BJTビジネス日本語能力テスト】問題例

読解パートの問題例はこちらです◎

(公式HP内「サンプル問題」より参照)

聴解パート、聴読解パートの問題例は、こちらから閲覧することができます!

語彙・文法問題 セクション1

次の文の    に入る最もよいものを1、2、3、4の中から1つ選んでください。

  • やれやれ、やっと終わったか。みんなががんばってくれた    で、納期に間に合いそうだよ。 

1 せい  2 おかげ  3 ごくろうさま  4 おせわさま

表現読解問題 セクション2

次の文の    に入る最もよいものを1、2、3、4の中から1つ選んでください。

  • 打ち合わせのあと、よろしければ、お食事でも    。 

1 いかがですか  2 いただきますか  3 あげましょうか  4 めしあがりましょうか

総合読解問題 セクション3

次の文章を読んで、質問に答えてください。
1、2、3、4の中から最もよいものを1つ選んでください。

※BJTビジネス日本語能力テストHP内「サンプル問題」より参照

1 派遣子会社が親会社だけに人材を派遣すること

2 派遣子会社が親会社以外の会社と派遣契約を結ぶこと

3 派遣人材のプールを目的に大企業が派遣子会社を作ること

4 リストラ人員の受け皿を目的に大企業が派遣子会社を作ること

【「ビジネス日本語」とは?ビジネス日本語能力テストって?】まとめ

  • 「ビジネス日本語」は「ビジネス場面で必要とされるコミュニケーションのための日本語」
  • 「敬語を正しく使う」「言葉の裏に隠された意味を理解する」のが難しい
  • 「BJTビジネス日本語能力テスト」はビジネス日本語能力を測れる
  • 就職活動に有利になるのが最大のメリット
  • 0~800点のスコアから、J5~J1+の6段階で評価
  • J2レベル(420~529点)がもっとも多い
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伊藤えり子

関東在住の現役日本語教師。日本語教育能力検定試験、日本語教師養成講座を保持。実際の指導はもちろんのことオンライン事業立ち上げや教材の開発、また一般企業で経験を活かした独自の視点で情報を発信中。日本語情報バンクのライター