日本語のローマ字つづり方(訓令式、ヘボン式、日本式)を解説

日本のローマ字(訓令式・ヘボン式・日本式)

検定試験の勉強をしていると「ローマ字つづり方(訓令式、ヘボン式、日本式)」が出てきます。

訓令式、ヘボン式、日本式….
それぞれの違いがよく分からない….

このように感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

本記事は「ローマ字つづり方(訓令式、ヘボン式、日本式)」をどこよりもわかりやすく解説。

日本語教育能力検定試験を受験しようと考えている方は最後までお読みください。


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ローマ字のつづり方を理解しよう

現状、ローマ字のつづり方は「まえがき、第1表、第2表、そえがき」から構成されています。

第1表には訓令式が、第2表の上から5列目までは訓令式とヘボン式のつづり方で異なるもの、第2表の上から6列目以降は訓令式と日本式のつづり方で異なるもの、が掲載されています。

検定試験の出題範囲において、ローマ字のつづり方は「言語」の「日本語教育のための文字と表記」に該当します。

区分主要項目
社会・文化・地域世界と日本の社会と文化/日本の在留外国人施策/多文化共生(地域社会における共生)/日本語教育史/言語政策/日本語の試験/世界と日本の日本語教育事情
言語と社会社会言語学/言語政策と「ことば」/コミュニケーションストラテジー/待遇・敬意表現/言語・非言語行動/多文化・多言語主義
言語と心理談話理解/言語学習/習得過程(第一言語・第二言語)/学習ストラテジー/異文化受容・適応/日本語の学習・教育の情意的側面
言語と教育日本語教師の資質・能力/日本語教育プログラムの理解と実践/教室・言語環境の設定/コースデザイン/教授法/教材分析・作成・開発/評価法/授業計画/教育実習/中間言語分析/授業分析・自己点検能力/目的・対象別日本語教育法/異文化間教育/異文化コミュニケーション/コミュニケーション教育/日本語教育とICT/著作権
言語一般言語学/対照言語学/日本語教育のための日本語分析/日本語教育のための音韻・音声体系/日本語教育のための文字と表記/日本語教育のための形態・語彙体系/日本語教育のための文法体系/日本語教育のための意味体系/日本語教育のための語用論的規範/受容・理解能力/言語運用能力/社会文化能力/対人関係能力/異文化調整能力

検定試験では、訓令式、ヘボン式、日本式それぞれの違いが出題されやすいです。
以下、それぞれの違いを中心に解説していきますので、しっかりと理解しておきましょう。

ローマ字のつづり方を分類しよう(訓令式、ヘボン式、日本式)

ローマ字のつづり方は、訓令式、ヘボン式、日本式の3つがあり、それぞれに特徴があります。

本記事では、それぞれのローマ字のつづり方の違いを理解しやすくするため、ローマ字のつづり方第1表・第2表を用いながら、訓令式、ヘボン式、日本式の順で解説していきます。

訓令式

「訓令式」はヘボン式と日本式を組み合わせた表記法です。
1937年(昭和12年)の内閣訓令第三号によって公布されたことが呼び名の由来です。

一般的に国語を書き表す場合、原則、第1表の訓令式のつづり方によるものとしています。

よって、検定試験対策としては、まず、第1表の訓令式つづり方を覚えましょう。
そして、続く第2表で、訓令式とヘボン式のつづり方の違い(訓令式と日本式のつづり方は同じ)と訓令式と日本式のつづり方の違い(訓令式とヘボン式のつづり方は同じ)を覚えましょう。

訓令式 第1表
「文化庁 ローマ字のつづり方第1表」より引用
第2表
「文化庁 ローマ字のつづり方第2表」より引用

ヘボン式

「ヘボン式」は世界で広く利用されている表記法です。

アメリカ人のジェームス・カーティス・ヘボンにより、1886年『和英語林集成(第3版)』において、ヘボン式のローマ字表・ローマ字表記法が完成しました。当初、ローマ字として広く普及したことから「旧ヘボン式」と呼ばれ、1905年の「修正ヘボン式(別名:標準式)」と区別します。

検定試験では、第2表のヘボン式と訓令式(日本式)のつづり方の違いがよく出題されます。
ヘボン式と訓令式(日本式)で異なるのは、第2表の上から1列、2列、3列、4列、5列目です。

第2表 ヘボン式
「文化庁 ローマ字のつづり方第2表」より引用

日本式

「日本式」は日本語の五十音図に基づいて作られた表記法です。

日本人の田中館愛橘により1885年に発表され、音韻論の立場から見た表記を採用しました。
ヘボン式はアメリカ人により考案されたことから英語らしい発音だったのに対し、日本式ローマ字は日本人向けの発音とつづり方に修正、日本式の流れを汲み、やがては訓令式へと発展しました。

検定試験では、第2表の日本式と訓令式(ヘボン式)のつづり方の違いがよく出題されます。
日本式と訓令式(ヘボン式)で異なるのは、第2表の上から6列、7列、8列、9列目です。

第2表 日本式
「文化庁 ローマ字のつづり方第2表」より引用

参考:文化庁 ローマ字のつづり方

まとめ

本記事は「ローマ字つづり方(訓令式、ヘボン式、日本式)」について解説してきました。

内容をまとめると….

  • 「ローマ字のつづり方の構成」:まえがき、第1表、第2表、そえがきから成る
    第1表:訓令式
    第2表の5列目まで:ヘボン式と訓令式で異なるもの
    第2表の6列目以降:日本式と訓令式で異なるもの
  • 「訓令式」:ヘボン式と日本式を組み合わせた表記法、1937年内閣訓令第三号公布
  • 「ヘボン式」:世界で広く利用されている表記法、1886年『和英語林集成(第3版)』にて完成
  • 「日本式」:日本語の五十音図に基づいて作られた表記法、田中館愛橘により1885年に発表

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池田早織

運営情報
フリーランスの日本語教師兼ライター。日本語教育能力検定試験合格、日本語教師養成講座420時間修了。公的教育機関での常勤講師、技能実習生向けの日本語会話動画作成など、社会人や留学生、外国人児童・生徒への指導を含め上級者から初級者まで幅広く経験。アジア圏、欧米圏問わずこれまで約5,000人以上の指導に携わる。
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