日本語教育能力検定試験の勉強をしていると「学習ストラテジー」が出てきます。
学習ストラテジーの種類が多すぎる….
なかなか覚えられない….どうしよう….
このように感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
本記事は「学習ストラテジー」についてどこよりもわかりやすく解説。
日本語教育能力検定試験を受験しようと考えている方は最後までお読みください。
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目次
学習ストラテジーを理解しよう
「学習ストラテジー」は、文字通り、学習時に用いるストラテジー(方略)です。
オックスフォード(Oxford,1990)がSILLと呼ばれるアンケートにより、学習者のストラテジー使用頻度を調査、その調査結果を受けて、学習ストラテジーを6つに分類しました。
検定試験では、どの学習ストラテジーを用いているかを問われることが多いので、それぞれの学習ストラテジーについて完璧に理解しておきましょう。
検定試験の出題範囲において、学習ストラテジーは「言語と心理」に該当します。
また、学習ストラテジーは第二言語習得過程とも密接に関わっているのでとても重要です。
区分 | 主要項目 |
社会・文化・地域 | 世界と日本の社会と文化/日本の在留外国人施策/多文化共生(地域社会における共生)/日本語教育史/言語政策/日本語の試験/世界と日本の日本語教育事情 |
言語と社会 | 社会言語学/言語政策と「ことば」/コミュニケーションストラテジー/待遇・敬意表現/言語・非言語行動/多文化・多言語主義 |
言語と心理 | 談話理解/言語学習/習得過程(第一言語・第二言語)/学習ストラテジー/異文化受容・適応/日本語の学習・教育の情意的側面 |
言語と教育 | 日本語教師の資質・能力/日本語教育プログラムの理解と実践/教室・言語環境の設定/コースデザイン/教授法/教材分析・作成・開発/評価法/授業計画/教育実習/中間言語分析/授業分析・自己点検能力/目的・対象別日本語教育法/異文化間教育/異文化コミュニケーション/コミュニケーション教育/日本語教育とICT/著作権 |
言語 | 一般言語学/対照言語学/日本語教育のための日本語分析/日本語教育のための音韻・音声体系/日本語教育のための文字と表記/日本語教育のための形態・語彙体系/日本語教育のための文法体系/日本語教育のための意味体系/日本語教育のための語用論的規範/受容・理解能力/言語運用能力/社会文化能力/対人関係能力/異文化調整能力 |
学習ストラテジーを分類しよう(直接/間接/補償/記憶/認知/社会的/情意/メタ認知ストラテジー)
先の通り、学習ストラテジーは全部で6つ、大枠は直接ストラテジーと間接ストラテジーです。
「直接ストラテジー」は目標とする言語に直接関わる言語学習ストラテジーです。補償ストラテジー、記憶ストラテジー、認知ストラテジーの3つがあります。
「間接ストラテジー」は学習を間接的にどう管理していくかに関わるストラテジーです。社会的ストラテジー、情意ストラテジー、メタ認知ストラテジーの3つがあります。
以下、それぞれについて見ていきましょう。
補償ストラテジー
「補償ストラテジー」は友人に聞いたり、ジェスチャーをしたり、知識を補うストラテジーです。
日本語を勉強していて分からない設問が出てきた時、試験時間で他の人に話しかけてはいけない状況下を除き、授業中など誰か他の人に聞いてもいいのであれば、真っ先にこの補償ストラテジーを使ってしまうという学習者も多いことでしょう。
ただ、補償ストラテジーは相手がいないと使用できないストラテジーなので、黙々と一人で勉強する場合は他のストラテジーを用います。
記憶ストラテジー
「記憶ストラテジー」は語彙や文法などを記憶する時に用いるストラテジーです。
新しい語彙や文法などを覚える場面をイメージしてみましょう。これらがなかなか覚えられない時、私たちは語呂合わせをしたり、単語カードを作ったり、母語と似ている発音で紐づけたり、絵とセットで覚えたりして、何かしら記憶に残るための工夫をします。
記憶ストラテジーと次の認知ストラテジーを組み合わせると記憶がより定着しやすくなります。
認知ストラテジー
「認知ストラテジー」は知識を体系化し、理解を深めていく時に用いるストラテジーです。
せっかく覚えた新しい語彙や文法を忘れないようにするためには、知識を体系化し、長期記憶に移行させるための工夫が必要となります。具体的には、単語や文法を完璧に覚えられるようになるまで何度も繰り返して言ってみたり、学んだ内容をまとめてみたり、母語に翻訳したりすることなどが挙げられます。
社会的ストラテジー
「社会的ストラテジー」は他者との関わりの中で用いるストラテジーです。
社会的という言葉から、なんとなくイメージできるのではないかと思います。
社会的ストラテジーは先の補償ストラテジーと似ていますが、補償ストラテジーは学習者が一方的に周囲に働きかけるのに対し、社会的ストラテジーは周囲と協力しながら双方向的に学びを深めていくものです。
情意ストラテジー
「情意ストラテジー」は快・不快など気持ちをコントロールする時に用いるストラテジーです。
情意ストラテジーを用いて、不快を快へスムーズに移行できるようになれば勉強も捗るでしょう。
勉強の時に用いる情意ストラテジーの例としては、自分を褒めてご褒美を与えたり、勉強の合間に休憩をとって脳を休ませてストレスを軽減したり、音楽を流してリラックスしたりなど、いろいろな方法があります。
メタ認知ストラテジー
「メタ認知ストラテジー」は超越した次元から自らを客観視する時に用いるストラテジーです。
「メタ」は “超越した” という意味の接頭語。先に登場した、直接ストラテジーの「認知ストラテジー」と間接ストラテジーの「メタ認知ストラテジー」は似て非なるものですから、それぞれしっかり覚えておきましょう。
勉強の時に用いるメタ認知ストラテジーの例として、学習計画を立ててスケジュールに沿って勉強を進める、自らの得意・不得意を把握しながら勉強を進めるなどが挙げられます。
まとめ
本記事は「学習ストラテジー」について解説してきました。
内容をまとめると….
- 「学習ストラテジー」:学習時に使うストラテジー、オックスフォード(Oxford,1990)が分類
- 「直接ストラテジー」:目標とする言語に直接関わる言語学習ストラテジー
- 「間接ストラテジー」:学習を間接的にどう管理していくかに関わるストラテジー
- 「補償ストラテジー」:友人に聞いたり、ジェスチャーをしたり、知識を補うストラテジー
- 「記憶ストラテジー」:語彙や文法などを記憶する時に用いるストラテジー
- 「認知ストラテジー」:知識を体系化し、理解を深めていく時に用いるストラテジー
- 「社会的ストラテジー」:他者との関わりの中で用いるストラテジー
- 「情意ストラテジー」:快・不快など気持ちをコントロールする時に用いるストラテジー
- 「メタ認知ストラテジー」:自分と距離を置いて自らを客観視する時に用いるストラテジー
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池田早織
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