【文法解説】日本語能力試験 JLPT N2「~をもとに」例文・導入・よく聞かれる質問も!

 

先生
こちらの記事は下記のような方を想定した文法解説記事となっております!

  • 日本語能力試験 JLPT N2の文法「~をもとに」を初めて教える事になった日本語教師
  • 久しぶりに「~をもとに」の文法を教えることになり内容を確認したい日本語教師
  • 日本語教師になることに興味がある/勉強中の方

文法「~をもとに」の概要

記事中に登場する記号の見方

記号の見方:品詞

V(Verb)…動詞

いA(i-Adjective)…い形容詞

なA(na-Adjective)…な形容詞

N(Noun)…名詞

Adv(Adverb)…副詞

意味

~を使って・材料にして(…を作る)

〈英訳〉use ~ to make something

接続

N+をもとに

JLPTレベル

日本語能力試験 JLPT N2

該当文法が使わているテキスト

文法「~をもとに」とよく一緒に使われる単語

名詞

  • 事実
  • 結果
  • 意見
  • データ
  • 調査

※後件には「作る」「書く」「開発する」など何かを生み出す意の文が続く。

文法「をもとに」を使った例文

  • この映画は、18世紀の小説をもとに作られました。
  • お客さまからの意見をもとに、改善に取り組んでいます。
  • ひらがなは漢字をもとに作られました。
  • 戦争体験者の体験談をもとに、ドラマを制作します。
  • この資料をもとに、顧客リストを作成してください。
  • これまでの成果をもとに、今後の方針を検討します。
  • 集めた証拠をもとに、犯人を特定していきます。
  • これまでの経験をもとに、効率的なやり方を模索しています。
  • 検査の結果をもとに、今後の治療のやり方を決めます。
  • 集めたデータをもとに、新薬の開発を進めています。

文法「~をもとに」を使った導入例

導入例1

 

先生
2人が映画について話している場面を提示します。

A:Bさん、あの新しい映画見た?

B:まだ見てないけど、どうだった?

A:よかったよ。小説をもとに作られた映画だけど、僕は小説は読んでないんだ。

B:私は、その小説は読んだよ。でも、私はフィクションより、事実をもとにした

映画や小説の方が好きなんだ。

A:そうなんだ。今度、おすすめの映画があったら教えてよ。

B:うん、いいよ。

 

先生
ここで学習者に「~をもとに」が使われていた部分を確認します。

教師:Aさんが見た映画は、小説をもとに作られました。

教師:Bさんは、事実をもとに作られた映画や小説が好きです。

導入例2

 

先生
新しい技術の開発を紹介している場面を提示します。

A:私たちの会社では、がんをより早く発見するための方法を開発しています。

B:それはいつごろ、実用化されますか。

A:2~3年後の実用化を目指しています。現在は、実験データをもとに

より正確性を上げるため改良を進めているところです。

B:その方法が実用化されれば、どのようなメリットがありますか。

A:この検査方法を使えば、今までより安く、早くがんを見つけられます。

そして、検査結果をもとに、早く治療が始められます。

B:そうですか。今後の成果を楽しみにしています。

 

先生
ここで学習者に「~をもとに」が使われていた表現を確認します。

教師:Aさんの会社はデータをもとに、新技術の開発を進めています。

教師:新しい技術が実用化されれば、検査結果をもとに、治療が早く始められます。

学習者がよく間違う似た文法

「~に基づいて」(N2)

①「~をもとに」・・・制作や創造など材料、物質的、具体的な素材を表し、それを生かしたり、利用したりしながら、何かを作ったり生み出したりする、ことを表します。

②「~に基づいて」・・・~を基礎、根拠として、精神的にそこから離れない、それに合わせて

何かをするということを表します。

 

  • 置き換え可(ただし若干ニュアンスに違いがある。)

<例1>

○この映画は事実をもとに作られました。(素材として)

○この映画は事実に基づいて作られました。(基礎として、そこから離れないで)

 

  • 置き換え不可

(何かに合わせて判断したり、行動したりすることを表す場合は「~をもとに」は使えない。)

<例2>

×本学ではキリスト教の精神をもとに、教育を行います。

○本学ではキリスト教の精神に基づいて、教育を行います。

 

<例3>

×法的手続きをもとに、問題を解決します。

○法的手続きに基づいて、問題を解決します。

学習者からよく聞かれる質問

「~に基づいて」との違い

上述の通り、「~に基づいて」は意味が似ており、置き換え可能な場合もあるため

注意が必要です。

  • まずは①助詞の違い「~もとに」「~基づいて」を押さえておくこと
  • それから「~に基づいて」の方が使える範囲が広いので、②「~をもとに」は主に後件に「作る」[生み出す」ことを表す意味が来るという点を押さえた方が、学習者にとってはわかりやすいでしょう。
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日本語教師キャリア マガジン編集部

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日本語教師キャリア マガジン編集責任者。これまで1,000名以上の日本語教師との面談実績あり。特に就職や転職の分野に強く、養成講座や検定試験など日本語教育に関わる有益な情報を経験を織り交ぜながら発信中!直近では「日本語教育の質の向上」を目指している。