【文法解説】日本語能力試験 JLPT N2「~おそれがある」例文・導入例・誤用例も!

先生
こちらの記事は下記のような方を想定した文法解説記事となっております!
  • 日本語能力試験 JLPT N2の文法「~おそれがある」を初めて教える事になった日本語教師
  • 久しぶりに「~おそれがある」の文法を教えることになり内容を確認したい日本語教師
  • 日本語教師になることに興味がある/勉強中の方

文法「~おそれがある」の概要

記事中に登場する記号の見方

記号の見方:品詞
V(Verb)…動詞
いA(i-Adjective)…い形容詞
なA(na-Adjective)…な形容詞
N(Noun)…名詞
Adv(Adverb)…副詞

意味

~かもしれない(※ただし、~は起こってほしくないこと)

〈英訳〉something bad may happen

接続

V-辞書形/ない形+おそれがある

N-の+おそれがある

JLPTレベル

日本語能力試験 JLPT N2

該当文法が使わているテキスト

文法「~おそれがある」とよく一緒に使われる単語

動詞

  • (雨が)降ります
  • 失敗します
  • 間違えます
  • けがをします
  • (影響が)出ます

名詞

  • 津波
  • 災害
  • 副作用
  • 発火

文法「~おそれがある」を使った例文

  • このままでは留年するおそれがあります
  • 失敗するおそれもあるが、やってみなければわかりません。
  • たばこを吸い続けると肺がんになるおそれがあります
  • このまま民族の対立が続けば、戦争になるおそれがあります
  • この台風は、明日九州に上陸するおそれがあります
  • 予定通りに到着できないおそれがあります
  • 十分な調査が行われないおそれがあります
  • この薬は副作用のおそれがあるので、必ず医師の指示に従ってください。
  • 発火のおそれがあるので、古い電池は使用しないでください。
  • この地震による津波のおそれはありません

文法「~おそれがある」を使った導入例

導入例1

先生
地震について、注意を促す場面を提示します。

教師:みなさんは地震を経験したことがありますか。

学生:いいえ、ありません。

教師:地震のときは物が落ちたり倒れたりするおそれがあるので、

本棚など倒れやすい物の近くで寝ない方がいいです。

そして、地震のあとには津波が来るおそれがあるので、

海の近くに住んでいる場合は気をつけなければなりません。

学生:わかりました。

教師:それから、火事のおそれがあるので、ガスの火が消えていることを確認しなければなりません。

学生:わかりました。気をつけます。

先生
ここで学習者に地震のときに、どんな心配があるか質問します。

生徒:物が倒れたり落ちたりするおそれがあります

生徒:津波のおそれがあります

生徒:火事のおそれがあります

導入例2

先生
学校で先生が学生に注意をしている場面を提示します。

先生:田中さん、最近、小テストの点数が悪い日が続いていますね。何かあったんですか。

学生:いえ…、最近アルバイトを始めて、忙しくなってしまって…。

先生:アルバイトをしてもかまいませんが、勉強の方が大切ですよ。

このままの点数だと、次の期末試験で合格できないおそれがありますよ。

学生:えぇ!?それは困ります。

先生:期末試験に合格できないと、留年になるおそれもありますから、きちんとがんばってください。

学生:わかりました。気をつけます。

先生
ここで学習者にどんな心配があるか質問します。

生徒:学生は、試験に合格できないおそれがあります

生徒:学生は、留年になるおそれがあります

学習者がよく間違う似た文法

~かねない

  • 「~おそれがある」は一般的、客観的な可能性を表します。
  • 一般的、客観的な可能性を表すため、天気予報やニュース、注意書きなどでは「~おそれがある」が使われる。
  • 「~かねない」は現状から推察した話者の個人的な意見を表す。
  • 「~かねない」にはその判断材料となる原因が必要です。

例1)

〇火事になるおそれがあるので、ライターで遊ばないでください。(一般論)

×火事になりかねないので、ライターで遊ばないでください。(判断材料がないので「~かねない」だと不自然)

例2)

〇(天気予報)明日は大雪になるおそれがあります

×(天気予報)明日は大雪になりかねません

例3)

〇スピードを出しすぎると、事故を起こすおそれがあります。(一般論)

そんなにスピードを出したら、事故を起こしかねません。(相手に対する個人的な注意)

学習者がよくする文法「~おそれがある」の誤用例

先生
「おそれがある」の「悪いことが起こる可能性がある」というマイナスの意味に引っ張られて、ない形で接続してしまい意味が反対になってしまう学習者がいます。

例)

失敗しないおそれがあります

間違えないおそれがあります

忘れないおそれがあります

学習者からよく聞かれる質問

「~かねない」との違いを質問されることがあるので、違いをきちんと押さえておいた方がいいでしょう。

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日本語教師キャリア マガジン編集部

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日本語教師キャリア マガジン編集責任者。これまで1,000名以上の日本語教師との面談実績あり。特に就職や転職の分野に強く、養成講座や検定試験など日本語教育に関わる有益な情報を経験を織り交ぜながら発信中!直近では「日本語教育の質の向上」を目指している。