【文法解説】日本語能力試験JLPT N2「~ものだ」(①当然②忠告・義務)

先生
こちらの記事は下記のような方を想定した文法解説記事となっております!
  • 日本語能力試験JLPT N2の文法「~ものだ」を初めて教える事になった日本語教師
  • 久しぶりに「~ものだ」の文法を教えることになり内容を確認したい日本語教師
  • 日本語教師になることに興味がある/勉強中の方

文法「~ものだ」の概要①

記事中に登場する記号の見方

記号の見方:品詞

V(Verb)…動詞

いA(i-Adjective)…い形容詞

なA(na-Adjective)…な形容詞

N(Noun)…名詞

Adv(Adverb)…副詞

意味①

~するのが普通だ
〈英訳〉usually / normally do ~

接続

V-辞書形/ない形+ものだ
いA-い+ものだ
なA-な+ものだ

JLPTレベル

日本語能力試験JLPT N2

該当文法が使わているテキスト

文法「~ものだ(意味①)」とよく一緒に使われる単語

動詞

  • 泣きます
  • わかります
  • 忘れます

形容詞

  • つらい
  • うれしい
  • 悲しい
  • 忙しい

文法「~ものだ(意味①)」を使った例文

  • 赤ちゃんは、泣くものです
  • 親になってみないと、親の気持ちはわからないものです
  • 時間が経てば、痛みを忘れるものです
  • 事故を起こすと、誰でもあわてるものです
  • 褒められると、もっとがんばろうと思うものです
  • 面接のときは、緊張してうまく話せないものです
  • 親切にされるとうれしいものです
  • 年末は、みんな忙しいものです
  • 家族を亡くすのは辛いものです
  • 子どもは自分勝手なものです

文法「~ものだ」を使った導入例

導入例:意味①(当然)

先生
初めて子育てをしている娘とその母の会話を提示します。

娘:お母さん、この子、全然泣き止まないの。

母:大丈夫、赤ちゃんは泣くものよ。熱はない?

娘:熱はないし、さっきミルクもあげたわ。

母:じゃ、心配しなくてもいいわよ。そのうち泣き止むものよ

娘:それはそうかもしれないけど…。

母:初めての育児は、疲れるし、大変なものだけど、だんだん、慣れるわよ。

娘:うん…。

先生
ここで学習者に赤ちゃんはどんなものか、育児はどんなものか尋ねます。

生徒:赤ちゃんは泣くものです

生徒:赤ちゃんはそのうち泣き止むものです

生徒:初めての育児は、疲れるし、大変なものです

文法「~ものだ」の概要②

意味②

~するべきだ、~するのが当然/常識だ

〈英訳〉should do ~

接続

V-辞書形/ない形+ものだ

JLPTレベル

日本語能力試験JLPT N2

該当文法が使わているテキスト

文法「~ものだ(意味②)」を使った例文

  • 家事は女性がするものだという考え方は古いです。
  • 日本では、約束の5分前には到着しておくものです
  • プレゼントをもらったら、その場ですぐに開けるものでしょうか。
  • 遅れそうなときは、事前に連絡するものです
  • 悪いと思ったら、素直に謝るものです
  • 電話で長く待たせそうなときは、あとで自分からかけ直すものです
  • 結婚式に、白い服を着て出席するものでものではありません
  • 音を立てて、スープを飲むものではありません
  • 男は泣くものではないと言われますが、男でも泣いてもいいと思います。
  • そんな格好で、会社に行くもんじゃありません

文法「~ものだ」を使った導入例

導入例:意味②忠告・義務

先生
上司が新入社員に注意をしている場面を設定します。

上司:◆◆さん、遅刻ですよ。どうしたんですか。

新入社員:すみません。ちょっとバスが遅れて…。

上司:いつもぎりぎりに来るからそんなことになるんでしょう。

始業時間10分前には到着しておくものですよ。

新入社員:はぁ…。

上司:それに、どうして連絡しないんですか。

遅刻しそうなら、事前に連絡するものでしょう

新入社員:はぁ…。すみません。

上司:社会人になったら、時間はきちんと守るものですよ。

先生
ここで上司が新入社員にどのような注意をしたか確認します。

教師:始業時間10分前には、到着しておくものだと言いました。

教師:遅刻するときは、事前に連絡するものだと注意しました。

教師:社会人になったら、時間はきちんと守るものだと言いました。

学習者がよく間違う似た文法

「~ものだ(意味②忠告・義務)」と「~ことだ」

忠告、義務を表す「~ものだ」の類似表現として、

命令、アドバイスを表す「~ことだ」があります。

~ものだ」:~を当然のこととして「~しなければならない」と相手に押し付ける表現

~ことだ」:~が一番、望ましいとして相手にアドバイスや軽い命令を与える表現

<比較>

  • ミスをしたら、素直に謝るものです。(それが当然だ、というニュアンス)
  • ミスをしたら、素直に謝ることです。(相手に対する忠告、アドバイス)

 

  • 遅れるときは、事前に連絡するものです。(それが当然だ、というニュアンス)
  • 遅れるときは、事前に連絡することです。(相手に対する忠告、アドバイス)

 

  • 学生は、勉強するものです。(それが当然だ、というニュアンス)
  • 学生は、勉強することです。(相手に対する忠告、アドバイス)
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日本語教師キャリア マガジン編集部

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日本語教師キャリア マガジン編集責任者。これまで1,000名以上の日本語教師との面談実績あり。特に就職や転職の分野に強く、養成講座や検定試験など日本語教育に関わる有益な情報を経験を織り交ぜながら発信中!直近では「日本語教育の質の向上」を目指している。